アニメは世界を救うか・・?

人生初の経験をしました。
といっても・・、外国人のヒッチハイカーを車に乗せただけなんですが、彼がとても不思議だったので、書かずにいられない・・。

田舎の三重の尾鷲市の、さらに田舎の町で、彼は大きな荷物をしょって親指を立てて腕を上げていた。
私は友人の家に遊びにいった帰り道。海と川で泳いだ後で、ちょっと疲れていたのだけど、白人の若者が、なんでこんな場所に居るのか・・と気になって、車を停めた。
白人の青年は、ちょっと太めで背が高く、日焼けして赤ら顔だった。

「クマノ!OK?」

うーん、それは帰り道と反対方向。逆方向なんで・・と断ろうと思っただが、津波対策で新しく通った幹線道路を使えばすぐか・・と思い、若者を車に乗せた。彼は荷物を後席に置いてから助手席に座り、早速きちっとシートベルトを締める。熊みたいにデカかった。

「どこからきたの?」

ほとんど英語が話せない私。キッパリ日本語で聞くと、
「フィレンチ!」
「え?フランス?」
「はい、フランス、パリからキマシタ」

「なぜ日本のに?」
「日本の文化、スキです!」
とりあえず、日本のアニメは好きか?と聞いたら
「ダイスキ!!」
「ドラゴンボールとか?」
「ダイスキ!」
終始笑顔の青年。
歳は20歳、学生、アニメーションの学生・・らしい。なるほど、アニメ好きか・・と思って「リン・ミンメイ」のアルバムをカーステレオで流し、
「マクロスを知っているか?」
「知らない・・」 あら・・残念。

でも・・なぜこんな三重県の端っこにいて、しかも熊野に行きたいのか・・?
その問いに、片言の日本語で話してくれた返事は、
「自分は熊野信仰の神仏習合が素晴らしいと思う。昨日は熊野三山に行ってきた。神と仏が一緒・・素晴らしい!」
神と仏。彼はそう言いながら、指を交差させるように両手を組んだ。

いやそれもう明治政府によって分離させられたよ・・って言いたかったけど、政治の力で変わったのは見た目だけで、今でも熊野三山を阿弥陀仏の浄土とする信仰もあるだろうし・・。

ん?ちょっとおかしい・・。昨日熊野三山に行って、熊野に向かう・・?
おかしいなと思って、最終的に何処に行きたいの?と聞くと

「天河神社」

天河神社は奈良県の奥地にあるチョー秘境の場所。スピリチュアル好きな多くの方々が、パワースポットとあがめる場所だ。
「天河にはお寺も神社もたくさんある、友達も居る。」

私は訳が解らなくなった。
フランス人のアニメ好きな若者が、神仏習合に憧れて熊野三山に行き、さらに天河神社に行きたいと・・。後で調べたところ、熊野三山も天河神社も修験道の行場らしい。
彼は前世、修験道の行者だったのだろうか・・。前世を信じる気持ちが、私の中にモクモクと湧き起ってきた。前世が熊野の修験者でない限り、そんな場所に行きたいと思う訳がないじゃないか・・。

さらに不思議なのは、彼のアニメ好きは結構本格的だった事だ。
大友克洋の「アキラ」が大好きと力説し、進撃の巨人やジブリ作品、ワンピース、NARUTO、ガンダムが好き!と楽しそうに語ってくれた。試しに進撃の巨人のアニメのサントラをカーステレオで流したら、ちゃんと解っていた。(すごい曲をカーステのSDカードに保存しているなぁ私も・・。)
でも、マクロスは

「知らない」

残念。

ほどなく幹線道路を下りて、熊野市に着いた。次の車をヒッチハイクしやすそうな場所で降ろそうとすると、彼は突然スマホを取り出し、グーグルマップをひろげ、「方向が逆で、ここまで行きたい」と言い出すじゃありませんか!!

めんどくさい外人を乗せてしもたやんけ!と思ったけど、目的地を考えると、「まぁそこらへんで降りた方が、次の車も見つかるかなぁ・・」と思って、彼の言う場所まで行く事にした。熊野市街から国道42号線を松阪方面に向かった。

グーグルマップでは「ちょっと先」に見えるけど、かなり高い山を登っていく道なので、彼は不安そうだった。けど、グーグルマップのナビを確認して、間違っていないと思ったらしい。「ありがとう、ありがとう」と何度もお礼を言ってくれた。

そして奈良方面に向かう道の交差点で、彼を降ろした。確かにこの道は、三重の熊野から奈良を横断し、大阪まで行けるマニアックな道だ。今も材木を運ぶトラックが、たくさんその道を走って行く。

「ここから天川に向う車をヒッチハイク出来ればいいけどね・・」
と言うと、彼は確信に満ちた笑顔で

「大丈夫!日本、大丈夫!!」
「あー・・日本人、チョロイか・・」

記念にスマホで写真を一緒に撮ってお別れした。

バックミラーに映る大きな身体。ずっと手を振ってくれていた。

何だろう・・ホントに不思議・・。彼は、車内の会話でさらに不思議な事を話していた。その内容は、天川の次は伊勢神宮に行きたい・・アマテラスオオミカミ・・とも言っていた事。

フランス人のアニメ好きな若者が、神仏習合に憧れて熊野三山に行き、さらに天河神社に行き、そして、天照大神に会いに行く・・。
大友克洋の「アキラ」にそんなシーンでもあるのだろうか・・。調べたけど、そうでも無さそうだし・・。

不思議・・本当に・・不思議・・。

でもちょっと考えた。彼はフランスのパリから来た。これが本当だとする。
アニメをきっかけに日本に興味を持った彼は、日本の文化にも興味を持ち、日本の宗教を調べ、神仏習合を知った。
今、パリを含めヨーロッパは、宗教上のテロの恐怖に怯えている。神と仏が一緒に祀られる神仏習合を知った彼は、衝撃を受けたのではないか。
彼が考える「神」は、私たちが感じる「神」とは違うかもしれない。
けど、習合・一緒に祀られ、信仰されている・・そのおおらかさに、「平和な未来」を感じ、憧れを抱き、こんな「東京から一番アクセスが悪い」と言われる場所までやって来た。

アニメが世界を救う・・とは言い過ぎだけど、なんとなく、そんな事があってもイイかなと思った。
マクロスは知らないようだったけど・・。
残念。歌が世界を救ったのに。

彼を降ろした私は家路についた。1時間半で帰る事の出来る家に、3時間かけて戻る事になった。

ただ、車内の残り香には参った。お風呂に入っていないのかしら・・?
窓を全開にして走る。
山、海、川の独特な清らかな風が、車内の空気と私の心を洗ってくれた。

彼の旅は、きっと大成功すると思う。


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2017-08-30 : 日記 : コメント : 0 :
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