SS 時間旅行 10

突然出来てきた、ゼントラーディー人のアボック君。
彼は、いきなり文化になじめるものか・・の疑問から生まれました。たぶん、一番文化に慣れる方法は、技術や研究に没頭する事と思ったのです。これは、答えがあるものが多いのです

でも、人の想いに正しいも、間違っているもありません。当然答えもありません。
悩んだり、落ち込んだり、大事な人を傷つけたり、迷惑をかけてしまったり。
みんな弱くて、その弱さが引き寄せあったり、傷つけたりするものだから

やってしまったことを振り返りながら涙して、ただ、生きていく。きっとそれが弱さの中にある、強さなのでしょう
その弱さの中にある強さこそが、愛につながると信じて。


続きでーーーす

メガロード内の応接室で、アボック・ケン・ハネは、すっきりとした表情で座っていた。
最高のスーツを着て、今は早瀬艦長との面会を待っている。

運ばれてきた紅茶に、砂糖を一つ入れた。
ゆっくりと口に入れる。
この瞬間、文化とはなにか・・などと考えてしまうのだ。
悪い癖だと思いながらも、想いをめぐらすことは脳にとって楽しい作業だ。

応接室の扉をノックして、若い士官が入ってきた。

「早瀬艦長が来室します」

その声に、アボックは立ち上がった。

「・・お待たせしてごめんなさい・・会議が少し長引いてしまって・・」

白い制服と、栗色の長い髪。その体幹は細いが、しっかりした筋肉を想わせる・・。当然、メディアでは何度も見ている。しかし実際に見る早瀬未沙は、まるで白く透明な光のように、アボックには見えた。

「はじめまして・・お会いできて光栄です」

淡々と挨拶をし、アボックは右手を出して、未沙もその手を握った。
握手が済んだあと、未沙は、声に出さずに「お座りください・・」と右手をそっと差し出して、自身もソファーに座った。

挨拶は済んだと思ったアボックは、さっそく本題に入った。
「・・早瀬艦長からのお申し出についてですが、お受けする前に、お聞きしたい事があります」
「なんでもどうぞ」
未沙は、口元に小さく微笑を浮かべて言った。

「本艦を守るために、ミンメイアタックを行う事に関しては、私も当然同意しています。敵の力は強大で、このメガロードの戦力では数時間しかもちません。あなたのご主人が、いくら奮闘しても・・。
ミンメイアタックは、この艦が生き残るためには採用すべきだ。」
未沙は静かに頷いた
「私が気になっているのは、その後の・・ミンメイアタックを受けてメガロードに投降したゼントラーディ人の処遇です。文化に目覚めた彼らを、このメガロードに収容し、その後のプランをもっと明確に提示していただきたのです」

「それは、本艦の理念でも提示してあります。私たちは平和と文化を愛する者同士として・・・」
「表向きです。文化を、自由を得たものは、それと引き換えにするものがあります。あなた方が当然のように感じている感情も、私たちにとっては扱いずらいものです。兵士として、決まった時間を過ごしていた方が、私たちにとっては快適だったと、思うこともあるのです」

やはり淡々と、そして本音と解る言葉を語るアボックの心を、未沙は肩を少し前に出して、正面から受け止めた。

「たとえば、人との関わりの中で感じたことや思ったことを伝えるのは難しい。相手に好意を感じていても上手く伝わらず、関係が困難に感じる事もある・・」

「Mrハネ・・それは、私たちでも同じです・・」

「恋愛という感情、それにおいてこれは顕著です。私はある女性に恋愛しています。でも彼女が見つめている相手は、私ではありません」

未沙の胸がチクンと痛んだ。

「その相手とは、あなたのご主人、一条輝です」

痛みの予感は的中した。


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2017-01-07 : 時間旅行 メガロード航海編 : コメント : 2 :
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Re: 戸惑いながら
いつも示唆に富むコメントをありがとうございます。

アボック君のお話にしたのは、お話の構成に若干迷いがあったのは間違いないです。でも、ゲスだの何だのっていう、地球の常識にとらわれないアボック君から見た人間関係は、どんなものかしらと思ったりして、未沙と会う機会を作ってみたのです。

いやいや、揺れてばかりもしんどいので、なんとか落としどころを探ってます。
楽しんで頂けるかどうかは・・わかりません(^_^.)
2017-01-10 12:43 : michy URL : 編集
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2017-01-09 23:36 : : 編集
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