SS 時間旅行 3

ううう、久々の連投です
もう、短編のカテゴリに入らないかも・・・

またまた短いですが、続きです!




「脳が音楽を認知する領域は多岐に渡ります。感覚野にある聴覚は音を拾いますが、話し言葉と音楽を処理する領域は違います。海馬などの脳幹に近い領域まで音楽は作用して、ドーパミンを放出されます。ですが、前頭葉を刺激しない場合もあります。緊張や恐怖を感じなくなるのもそのためです」

ゼントラーディー人のアボックの髪型は頭頂部の短い髪の気をキンキンにおっ立てたうえに、髪の色は彼らの種族独特のエメラルドグリーン、そして側頭部と後頭部はバリカンで短くなっている。バリカンで刈られた髪の長さは頸から毛が立っている頭頂部まで微妙に長さが違っていて、まるでグラデーションのような色彩だ

そのうえ・・マッチョで・・なにあのピチピチのTシャツ・・・・・

その見た目からかけ離れた多くの知識は、違和感を通り越してもう納得してしまう

「ゼントラーディー人は交感神経優位に傾く傾向が知られています。音楽はドーパミンといった交感神経の伝達物質によって脳を刺激し、しかもリラックスの作用もある。リラックスは迷走神経の反応です・・それにより・・・」

「解った!わかったから!」

椅子に馬乗りになったミンメイが、肘を伸ばして右手のひらをアボックに突き出した

「・・研究の主旨はなんとなくわかったわ。でも、その研究を軍と行うって事は、つまり・・・」

この言葉はあまり使いたくなかったけど・・・

「歌兵器・・つまり、ミンメイアタックに本格的に関わるって事でしょ・・・」

昔付き合っていた男は、「歌で世界を平和に・・」などと言って、軍隊と対立するような話をミンメイに聴かせ続けた。男はミンメイにとって初めての男だった。ミンメイは男の肌と吹き出す汗の熱さに蕩けてしまった。彼が話す世界が、本当の理想郷だと思えた

あの男が居なければ、軍人として生きると決めた輝と・・・ひょっとして・・・・

「私だって子供じゃないわ。だって、軍隊が私たちの新天地を探しているんですもの。彼らを否定するつもりはないわ」
アボックは、うん・・と、頷いた。
「でも、あなたのギターを兵器として使うのは、ちょっと嫌。だって、歌って本来は兵器とかじゃないもの」
ミンメイの訴えるような瞳を、アボックは静かに両方の口角を上げて受け入れた。
「ミンメイ、あなたの歌こそ、兵器に使うという発想は・・・今となっては・・・」
俯いた彼が、ツイと顔を上げた

「しかし、結果的に歌を兵器としているだけで、歌は、私たち戦闘種族のそれまで使っていなかった神経を甦らせ、いつも前頭葉が高信号を発している状態を解除した。そしてドーパミンを戦うためでなく、自分を安楽にし、他の個体と繋がるという感動を生み出した・・・
当然・・それには胸の振動が伴うのですが・・」

その振動は、単に「楽しい」や「リラックスした」という単純なものでない事を、ミンメイは知っている。

「私たちは、恋や愛を追体験することで、知りえなかった多くの感情を知りました」

真顔の彼をミンメイはじっと見つめた。大きく、うるんだ瞳だった。

「その感情の体験を、まだ戦闘しか知らないゼントラーディー人に伝えたいと・・早瀬艦長から直接話を持ち掛けられたのです」

突然でてきた名前。ミンメイの胸に小さく冷たいものが走った。
時間が解決した・・と、とっくに思っている。でも、やはりそれ程単純なものでも無いらしい
華やかな場所に居る自分が、求めても得られない全てを・・

あの人は、持っている・・。



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2016-10-15 : 時間旅行 メガロード航海編 : コメント : 4 :
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Re: No title
脳神経は面白いです。でもそうなるとココロは脳にあるのだになるのですが、でも痛むのは胸だったりするので、人間は全体で生きているのだと感じます。

生きてきた過程を含めて、全体

後悔あり、前向きあり、色々相まって落ちたり上がったりして、知らない間に少しずつ成長するものだと信じたいのです。


> そうか〜。
> こういう医学的に分析したアプローチは当然ある筈ですよね〜。凄く納得です。
> アバウトに「歌が感動を呼ぶから」なんて程度の認識じゃ〜兵器として使えないですもんねwいやあ、これは教わったなぁ…。
>
> そしてミンメイの心の動きがとっても素敵です。切なさとか悔恨こそが、過去を振り返って人の心を動かしたりするんですよね〜。そういうの好きです。
> 勿論、正反対の未来を見た感情が必要なのも分かりますが、この辺は人それぞれ趣味の領域ですね( ̄▽ ̄)
2016-10-16 15:12 : michy URL : 編集
Re: いいなあ嫉妬
女の職場なので、「女嫉妬」を感じる時があります。
。男性も同じかもしれませんが、キャリアにおいても当然嫉妬はあります。
ただ、「女の嫉妬」は解りにくく、「あの人の仕事は評価できない・・」なら解りやすいんですが「香水が嫌」「メイクが変」など、ええええええって場面もあります。
解決法は「真に受けず、突き抜ける」なんでしょうが、この二人は突き抜けているから・・。

ミンメイ「早瀬艦長の香水って、オヤジ臭よね」とか
未沙「ミンメイさんのアイメイクって頑張りすぎじゃないかしら」とか

この二人には出来ない何かがありそうです
2016-10-16 15:09 : michy URL : 編集
No title
そうか〜。
こういう医学的に分析したアプローチは当然ある筈ですよね〜。凄く納得です。
アバウトに「歌が感動を呼ぶから」なんて程度の認識じゃ〜兵器として使えないですもんねwいやあ、これは教わったなぁ…。

そしてミンメイの心の動きがとっても素敵です。切なさとか悔恨こそが、過去を振り返って人の心を動かしたりするんですよね〜。そういうの好きです。
勿論、正反対の未来を見た感情が必要なのも分かりますが、この辺は人それぞれ趣味の領域ですね( ̄▽ ̄)
2016-10-16 04:55 : びえり  URL : 編集
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2016-10-16 03:47 : : 編集
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