SS ふたりの休日 その5

その5、続きです。

まぁーーーワタシ恥ずかしーーーーですが、妄想中や書いてる時は楽しい。寝起きや夜勤明けなどの理性アホアホの時などが書きやすい。疲れは抑制を外す。しあわせヒカミサよろしければ読んでやってくださいませ。


久しぶりに同じになった二人の休日。早起きできずウダウダし、結局お昼がちかいと感じる時間になった。朝食はコーヒーと軽いパンだけにして、やっと出かける事ができた。

春うららの気持ちのいい風が二人をつつむ。輝は未沙の腕をツンツンと指でつっついて、腕を組んでと合図した。未沙は微笑んで、輝の腕に身体を寄せてぎゅっと腕を組んだ。やわらかいスカートが、二人の歩調に合わせてひらひらと舞う。

人通りのある場所だったせいもあって、未沙はちょっと気になっている事を聞いてみた。

「ねぇ、なにか言われない?」
「何を?」
「・・その、私達の事・・」

輝は、あまり興味が無さそうに淡々と言った。
「あぁ、言われるよ。似合わない釣り合わない、すぐ別れる、どうせ別れる、尻にしかれて嫌になるってね」
「ひどいっ!・・聞くんじゃなかった・・」

顔を上げたあと、どことなく落ち込んだそぶりの未沙を見て、輝は笑った。
「ま、いいよ。お似合いのカップルほど別れるって言うじゃないか」
「もーー!どういう意味よ!!」
輝は笑って軽く未沙に身体を寄せた。

お目当ての公園は、まだそれほど整備されているといった様子では無く、広い敷地内に移植された木や、植えつけたばかりの芝生が青い香りを放っていた。
その中で、花壇に植えられた色とりどりのパンジーが笑っている。こんな光景でも、大地の上で、太陽そのものの光の下だというだけで、たくさんの人々を癒している事が想像できた。

二人はベンチに座ってぼんやりと空を眺めた。
「あぁ・・眠くなっちゃうね・・」
「寝ても寝ても眠いのねぇ」
「若いから」
未沙にペちっと頭をたたかれた。

空を見上げていると、ジェットエンジンの音と共に、2機のバルキリーが見えた。パトロールを終えての帰還だ。
「おっ、お帰りだ・・」
輝は旋回する機体を目で追って、見えなくなってから耳を澄ました。
「ご無事のようだ・・」
空港の整備が出来ていないため、いまだにアームド1に着艦しているのだ。異音が無かった事は、無事着艦出来たと言う事になる。
「まさか、地上にいながら艦載機になるなんてなぁ・・」
「・・そうね、空母なんて本来は海に浮かんでいるものだものね・・」

普段はそれを何とも思わないのだが、こうやって日常の安らぎを感じていると、なんだかいろんな事が見える気がした。

「あなた達には大変な思いをさせるけど、空港の整備には時間がかかるわ・・だって・・」
「人の命を預かる設備に手抜きは許されないからね・・突貫工事なら、俺達だって出来るけど、あんな大事な施設は、ちゃんと重機でもってきちんと作りなおさないと」

輝はこの数カ月で随分としっかりした。と言うより、案外、元々こういった人なのかもしれない。バトロイドタイプでの工事にも、任務終了後に出してきた報告書に、利点や問題点が明瞭に書かれていた。不足している輸送機の操縦士を補てんするために、戦闘機パイロットを副操縦士として搭乗させる計画にもかなり積極的で、非番を返上して輸送機のフライトの任務につく事もある。

現場が好きなだけ、と笑うけど、少し心配になる。

「ねぇ、休んでなくて良かった?私、ちょっとひどかったわね・・」
「へ?また何で?いろいろ考え過ぎなんだよ。こうやって遊んで一緒にいて・・休まってるよ・・」
「・・でも・・」
「あぁっ、それじゃあ一日中ベッドでやってるほうが良かった?俺、そっちでも全然いいんだけど」
「そっちって・・!」
輝は絶句する未沙の手を取って立ち上がって歩きだした。未沙もそれについて歩く。
「任務の事じゃ、あんなに決断早くて迷いないのに・・不思議だね」
「・・そうかしら・・」
未沙はうつむいて輝が差し出した手を握り返した。

「あの・・話しがあるんですが、いいですか?」
顔を見ずに、お互いが前を向いたまま、歩きながら話だした。
「・・はい・・」

「あの・・思うんだけど、あなたは一介の管制官で終わる人じゃない。きっとこれからも、どんどん役割りが増えて、偉くなっていくよ」
「そんな・・!」
言い返そうとする未沙を、軽く片手を上げて制して話しを続けた。
「でも、俺はこれからもただの飛行機乗り。現場で精一杯頑張って、あなたを支える事しか出来ない」
輝がこれからの事を言えなかった理由の一つだった。

未沙は戸惑った。どういう意味だろう・・。ひょっとして、別れ話を持ちかけられているのかもしれない。重くなった胸が歩みを止めた。

「未沙?」
輝が不思議に思って未沙を見ると、彼女が突然、輝の両腕をつかんで言った。

「どうしてそんな事いうの!私は嫌!あなたの全部が好きなのに・・」
心も、身体も。

「な、なに言ってんの?」びっくりした顔で未沙を見た。
「だって・・!」

いちいち未沙の勘違いにつき合っているほど余裕はない。照れてしまって顔が見れなかった。顔を見なくていいように、輝は未沙を抱きよせて言った。
「その、つまり・・それでよかったら・・一緒になってくれ!」

未沙は輝が言った事の意味を少し考えた。それから目を閉じて彼の背中に手をまわして抱き返した。
鼻孔に彼の匂いを感じる。慣れたはずの彼の筋肉の感触も、硬い髪の心地よさも、全てが新しく感じた。

春の風はやさしい。

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2011-04-03 : SS ふたりの休日 : コメント : 0 :
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