SS  ふたりの休日 その2



つづきです。その2です。よかったら、よんでやってくださいませ。

未沙は仕事が終わってから、ちょっと贅沢な食材の買い物を済ませ、早足で部屋に向かった。昼間のあの輝の感じ・・・。ひょっとしたら、改めてプロポーズがあるかも・・。

あの決戦前の告白は、プロポーズだと思ったものの、少しも進展なし。お互いその後の忙しさやらなんやらで、しかたない・・。それでも、ちゃんと帰ってきてくれて、一緒にいてくれて、充分幸せだと思うのだが・・。

輝は恋人気分を味わいたいのかしら・・?

しかし、休日に買い物を楽しんでいる未沙に、「新しいパンツを買ってきてください、もうボロボロです」なんてメールをよこす輝に、はたして恋人気分などあるのか?と、疑問がおこる。

でもきっと、今日帰ったら、輝は言ってくれる・・。いつも、夜勤明けに仮眠する時は夕方には起きているし、少し遅くなったから、きっと起きて待っている・・。

そう思って幸せな気持ちで部屋のドアを開けた。

部屋の中は真っ暗だった。「夜勤明けに灯りは不要」のという輝は、ベッドサイドの小さな明かりも点けずに寝るのではあるが・・。

案の定、輝は熟睡中だった。
どこからともなく怒りが湧いてくる・・。
「もう!いつまで寝てるのよ!!」
部屋の灯りを一斉に明るくしてやった。

「うううわっ!何?」
慌てて起き上がる輝はシャワーも浴びていない様子で、制服のアンダーに着るTシャツとパンツ姿。当然髪の毛はボサボサ。

「ねぇ!夕ご飯は?いつまで寝るつもりなの?!」
「・・なんだよ・・朝まで寝るんだよ・・」
そう言ってまた布団にもぐりこんで言った。
「でーんーきーけしてくれー・・」

バシッ!!!未沙は、壁にある室内灯のスイッチを平手打ちでOFFにした。

ドカッバシッ!!冷蔵庫に買ってきた食材を勢いよく投げいれた。怒りがおさまらない・・。テレビをつけてみると、歌番組が・・・。ミンメイが新しくアレンジした「私の彼はパイロット」を歌っていて、さらにイライラする・・。

「もーーーーーっ!実態を見せてやりたい!」

いつもそう・・。嬉しがらせて、突き落とされる・・。正直で、悪気がないのは、そばにいる自分が一番わかっているのだけれど・・・。

本当に、大好きなんだけれど・・。だんだん悲しくなってくる・・。

テーブルの上に、ビールの空き缶が3個も転がっていた。
未沙ははっとした。輝は翌日にフライトがある時は絶対にお酒を飲まない。ああ見えて、パイロットとして、彼はストイックだ。少量のアルコールが血液に残っていると、気圧の低い上空では判断力の低下を引き起こしかねないからだ。下半身の筋トレも欠かさない。Gがかかった時、耐G スーツで下半身に圧迫を加えて、血液を上半身に押し上げる。その時に同時に下半身の筋力を使う事で、ブラックアウトを防ぐのだ。

その輝が、ビールを3個も飲んだという事は・・。明日は非番って事。

未沙はお互いの勤務予定を書いたカレンダーを見た。明日はお互いが非番。そんな大事な日をうっかりしていた。かまってくれないと言いながら、輝の事を気遣っていなかった気がして、悲しくなった。彼にこれからの事を何も言わせなかったのは、忙しいを連発していた自分のせいかもしれない。

寝室をのぞくと、輝はさっきと同じ格好でうつぶせになって眠っている。

充分、幸せじゃない・・。こうやって一緒にいられる・・。

軽くシャワーを浴びて、輝の眠るベッドにもぐりこんだ。少々汗臭いが、これにも安心するから不思議だ。

彼の胸を枕にして眠ろう・・。それが、一番よく眠れるんだから・・。

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2011-03-26 : SS ふたりの休日 : コメント : 0 :
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