SS 帰還後 その7

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その7です。
ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました。
エロにしたかったんですが、今回は無です。


明るいというより、痛みさえ感じるような光だった。
その光の中から、彼女が見える。輝を目指して一目散に駆け出してきた。未沙は思う。あの涙に嘘は無い・・。ミンメイは、輝を待ち続け、無事を祈り続けていたのだろう。

二人がこの後抱きあう事が、本当に自然な光景のように思えてしまう。じっと二人を見ているしかなかった。

ミンメイに抱きつかれた輝は、目を伏せてうつむいたまま彼女を抱き返すことなく立っていた。ゆっくりと開かれたその大きな瞳はうるんでいて、涙があふれる瞬間をカメラに収めようとするフラッシュの光に包まれた。

あぁ、輝が泣いている・・。そう思う未沙には、それにどんな意味があるのかまで解らない。
ただ、立っていなければと思った。

輝はカメラのフラッシュの期待通り、涙を流した。ミンメイの両手に手をかけると、その身体を少し離した。そして身をかがめると、何かを彼女につぶやいた。一瞬、ミンメイの顔が明るくなったが、すぐにその表情が硬く変化した。

輝が小さく未沙を見ると、ミンメイもこわばった顔で未沙を見た。
明るい光が三人にまとわりつく。

二人の間に、どんなやりとりがあったかまで知る事は出来ない。未沙は、二人分の視線を受け止めきれなくなって、その場から立ち去った。


廊下をただぼんやりと歩いた。コツコツと歩みに添って、ヒールの音が一定のリズムを刻む。そのリズムがかろうじて未沙を支えた。
あの後、ざわついた会場がどうなったのかは知るはずもない。後ろから、輝の気配を感じたが、すぐ大勢にまみれてわからなくなった。

アイドル歌手の可愛い女の子が大衆に媚びて笑う、後ろについた大人達の指示と生まれ持ったしたたかさで。未沙はマクロス市街でミンメイがデビューした時、彼女の事をそんなふうにしか思う事ができなかった。

しかし、今見た彼女は違った。おそらく、彼女は輝の死を覚悟したのだろう。その上で、自分に出来る事を最大限にやり遂げようとした。その結果が、あの和平の実現と言っても言い過ぎではないだろう。

輝もミンメイの死を覚悟しただろう。自分は、その隙間にいただけ・・。

ふと、昨日輝につかまれて、痕が刻まれた手首を見た。つらい傷痕・・。でも、これには二人の時間が刻まれているのだ。焼いてくれた魚の匂い、お互いの存在を確かめ合うように抱きあった、あの遺跡の夜。マクロスに帰ってからの、新しい二人。

立ち止まって、じっと傷痕を見る。ただ、隙間にいただけではないのだ。幸せな日も、不安や葛藤も、涙も。確かに二人の間にあった、二人だけの時間。
未沙は振り返って、今戻ってきた道を走り出した。

息を上げて、髪を揺らして走った。
輝のところに行く、輝ともう一度やってみる、そう思いながら走った。

「うわぁっ!」「きゃっ!」
突然、通路脇の部屋の自動扉が開いて、出てきた人とぶつかった。その勢いで、その人を巻き込んで廊下に倒れ込んだ。

「未沙!」
名前を呼ばれた。
「輝・・!」出てきた人は輝だ。驚いた顔の後、満面の笑顔になって言った。
「大丈夫?ほんとに弾丸だね!」
「だだ弾丸って何よ!」未沙は頭に血が登って顔が真っ赤になっている。それが自分でもわかるので、はずかしくて顔をふせて言った。

「面白いっていう意味だよ」からかうように笑う。
「お面白いって何よ!!」まだ顔を上げられない。

「だってさ、面白い・・」
輝は座ったまま未沙を抱きよせてキスをした。未沙も輝の背中を抱いた時、思いもかけない人物が目に入ってきた。ヒラキだった。

「・・!ヒラキ少・・・」未沙がそう言いかけて輝から離れようとした時、輝はそれを遮るように未沙を抱きよせた。

「ヒラキ少佐、僕達もうとっくにデキちゃってるんです」ニッと笑いながらそう言って、未沙にまたキスをした。未沙は大きく目を見開いて、ヒラキではなく輝を見た。輝はうなづいて答えた。

ヒラキは何も言わず二人を見下ろしてニヤッと笑い、その場をゆっくりと立ち去った。

「輝、あの・・」言いかける未沙の唇が塞がれる。
そのまま廊下に寝ころんで口づけをした。抱きしめ合う感触にお互いの鼓動の愛おしさを感じる。誰かの目にとまっても構わない。

顔を上げて言った。
「さすがに俺がバカでも、ここじゃこれ以上ダメだね」
「・・いいの?私で・・」
「ちゃんと話すよ。だから、飯作って待ってて。遺跡で拾った食器でさ」

輝は未沙の手を取って立ち上がった。
マクロスが現れて、帰って行った時と同じように、二人は支え合って歩きはじめた。

おわり




恥ずかしい展開ですいません・・ざーーーっと書いてしまいました。
でも、ありがと、読んでくれて。

この後修羅場してハッピーエンド。帰ったよ未沙おかえり輝で、やらしいのができたらいいなと思ってます。
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2011-03-19 : SS 帰還後 : コメント : 0 :
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