SS おもいで 2

台風一過です・・。いやしかしスゴイ雨でしたが、一番スゴイ雨の時は爆睡中で気が付かず・・。すぐ近くの地域には避難勧告があったみたいです・・と、家族が教えてくれました。あまりに寝ているのでそのままにしてくれたそうです。

過去記事に拍手ありがとうございます。読んでいただいて、拍手までいただけちゃって本当に嬉しいです。元気になります!

そして、つづきです。なんだか、あっさりした仕上がりになってしまったのですが、よろしければ覗いてくださいませ(^_^;)





「なによ!もういいわよ!放っといて!」
「何だよ、何に怒ってるんだ」
「もういいわ・・!」

陽が傾きかけた夕暮れ近く。輝と未沙は些細な事で喧嘩を始めてしまった。

未沙は両手に抱えていた薪を放り出して、輝に背を向けた。
輝が見えなくなってから、未沙はボロボロと涙を流した。
どうしてこんなに傷ついているのだろう・・。

それは些細な事で、未沙が拾い集めた薪をたくさん抱かえていたのに、輝がそれに気が付かなかった事・・だった。
輝はその時、違う事に気を取られているようで、重い荷物を持つ未沙に気が付かなかっただけの事なのだ。

私は・・、どうかしてる・・。しっかりしないと・・。

未沙は涙を拭うと、さっき放り投げたままの薪を、また静かに拾い集めた。

テントに戻った頃には、もう日が暮れてしまっていた。
輝は、まだ帰ってこない。
二人で試行錯誤して作った竃に火を入れた。

これを目印に、彼が道に迷わなければいいのだけど・・。
未沙は膝を抱いて、やっと灯る事ができた火をみつめた。


彼は・・、一条輝は・・。
ほんの少し、彼から生い立ちを聞いた。お母さんは小さい頃に亡くなって、お父さんも事故で亡くなって・・それからは一人で生きていたという。
未沙にも、それなりに苦労はあった。父は任務で家に居なかったし、母親は彼女が士官学校の頃に、病気で天国へ旅立った。初恋の人との別離もあった。
少し・・似ているかもしれない。


焚火を前に座り込んだまま、ほんの少しだけ躰を小さくした。
辺りはもう暗くなってきている。それにしても・・遅い・・。

立ち上がって辺りを見回すが、まだ輝の気配がない。

「一条くん・・」

暗闇で、迷ってしまったのだろうか・・。

「一条くん!」

彼は何処に行ったのだろう?

「・・一条君!!」

声を張り上げた瞬間・・!!

「ハイ」
「きゃあっ!!!」

背後にのっそりと立っていたのは・・
「一条君・・!び・・くりするじゃない!」
輝は俯いてクックッと小さく笑ってから、上目使いにチラリと未沙を見て言った。
「びっくりするのはこっちの方だよ、なんて大きな声なんだ」

未沙はとっさに両手で頬を押さえながら、たき火の前である事を感謝した。頬が熱く血の気を帯びていたからだ。

そんな彼女に気が付かない輝は、淡々と服に貼りついた泥を叩いてから手に持っていた「獲物」について語り始めた。
「早瀬さんがキレてた時にね、自然薯のツルを見つけたんだ。掘り返すとなると時間がかかるし、どうしようかと思ったんだけどね・・ほら」
海水で洗われた、輝が言う「自然薯」は、太いとは言えなかったがまずまずの大きさだった。

「・・あなた、お芋を掘るの・・上手ね・・」
「なんか、よく解らないけど、ありがとう・・」

頭を掻きながら、ぼそりと言う輝を見て、未沙はプッと笑った。
輝もそんな彼女を見て、ふんわりと笑う。
・・精が付いて困る・・とかさ・・

「なぁに?聞き取れなかったわ」
「いや、いいんだよ聞こえなくて」



二人で分けると、ほんの少しだったけど、なんだかその夜は、なかなか寝付けなかったっけ・・。

「なにニヤニヤしてんの?」
瞼を押し上げて小さく顎をあげると、そこに彼の顔があった。目が逢って微笑みあうと、二人はまたキスをした。
「思い出し笑いなんて、エッチだなぁ・・」
「違うわよ・・。ちょっと思い出していただけ」
「・・何を?」
「彷徨っていた時のこと・・」

あぁ、そうか・・。
輝はそう言って、天井を見つめながら躰の力をふうっと抜いた。
「大変だったなぁ・・」
「そうね・・・」

「うん、大変だった。我慢するのが」
未沙に向き直って、彼女を覆っていたシーツを下に降ろして、またその広くて熱い手を、すべらかな肌に這わせ、やわらかい彼女の場所に届いた。
「・・輝」
背中に回した腕が、彼を包む。

この背中を好きになった。
それが、いつ頃だったかだなんて、もうどうでも良い。
確かに居る。想い出だけじゃない。これからも、ずっと・・。

好きだよ・・。愛し・・て・・る。

未沙の想いを輝がささやく。

もう、夜の意味が変わってしまった。
未沙はもう一度、彼を感じるために瞼を閉じた。



終わり

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2013-09-15 : SS おもいで : コメント : 6 :
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Re: 合図!
自然薯は精力剤ですからねっ
2015-08-04 20:53 : michy URL : 編集
合図!
二人の合図は、自然薯の料理ですなぁ~!
バボ家はねぇ~、、、はっ(゜ロ゜)!
バボ・・・・独身だった しょぼ~ん バボ~ん(´・ω・`)
どぼ~ん
2015-08-03 21:04 : 敦賀屋 バボ URL : 編集
Re: 仲良し~。
ぱよぷーさん
そうなんです。仲良しに書くのは素直に楽しいです。ぱよぷーさんとこのSSでも悶絶してますよ(*^_^*)
2013-09-21 00:08 : michy URL : 編集
Re: 自然薯
隠語?うーん、そっち系ですかね。隠語萌えとか(^_^;)
2013-09-21 00:06 : michy URL : 編集
仲良し~。
やっぱりイイ~。輝と未沙だよ~。
‥と悶えそうになるくらい、イイですよぉ。
また瞳を閉じるのが、んもぅ!って感じです(すいません、出張帰りで壊れてます)

はぁ、ごちそう様でした。マンゾクです。
2013-09-18 20:43 : ぱよぷー URL : 編集
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2013-09-18 12:48 : : 編集
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