SS どこよりも 青い場所 2

輝テストパイロット妄想の続きです。

えっとですね、NAの雑談も下にあります^_^;




物事を甘く見る癖は、あの過酷な冥王星から始まったマクロスでの日々での経験で、もうすっかり修正されていたと思っていた。

テストパイロット養成コースに行くにあたっては、十分に準備したつもりだった。
その準備には、未沙も一緒に手伝ってくれた。



あの内示を受けて不安になって、未沙に電話した後、輝は未沙の宿舎に初めて行った。
ニットのワンピースという普段着の未沙にドキリとしたが、そんな気分に浸れそうもなかった。

「あ~ぁ・・なにかあるんだろうなとは思っていたけど、まさか研究実験飛行団とはなぁ・・。」
輝は未沙の部屋のソファーで、遠慮なくだらけて座り、おもいっきり体を伸ばした。

女の子の部屋は、かつて中華料理屋の2階にあったミンメイの部屋に入った事があったが・・。
通された未沙の宿舎の部屋は、ダイニングキッチンといった様相で、寝室へのドアはきっちりと閉じられていた。
置かれている食器やソファー、カーテンは、未沙の任務の様子と違い、とてもやわらかい色調のものばかりだった。

はじめての未沙の部屋・・。
本当は少し緊張していたのだが、そんな気分を悟られるのが嫌で、輝はいつもより馴れ馴れしく振る舞った。

輝はソファーで体を伸ばしたまま、ポツリと言った。

「ひょっとして、知ってたの?俺が研究飛行団に行くかもって事・・」
「ええ、昨日聞いたわ・・。けど、あなたが決める事だし・・」

「そうだよな・・、言えないよな」
つぶやく輝に、ソファーの端に座っている未沙は、目を大きくして少し怒った顔になった。

「やあね、言ったら言ったで職権乱用とか、余計なおせっかいとか言うくせに」
「まぁね、俺、勝手だからさ・・」

体を元に戻して、輝は未沙に向き直って決意したような顔になった。

「ねぇ、資料を貸して」




輝が資料を吟味している間に、未沙がご飯を作ってくれた。
テレビを見ながら食事を終えると、もう遅い時間になっていた。
「そろそろ帰るよ・・。それとさ、養成コースにいる間は寮に入らないといけないんだ。」
「そうなの・・缶詰なのね」
未沙は少し寂しそうに言った。一瞬、輝の胸がチクンと波打った。
このまま長居をすると、何か違うものに飲み込まれてしまいそうだ・・。

輝は資料をまとめて帰り支度を終えると、玄関先で未沙に振り返って言った。
「でも、土日は休みだし、パトロールしてる時みたいに呼び出しもないし・・、またどこかに遊びに行こうよ」
「うん・・ありがとう」
未沙はゆっくりと微笑んだ。

俺のほうこそ、ありがとう・・。

そんな簡単な言葉が、どうして伝えられないんだろう。
口ごもってしまった輝は、すこしだけ未沙を見つめて、片手をあげて挨拶らしき事をしてから、未沙の宿舎のドアを閉めた。


テストパイロットへの道というのは、思っていたよりも大変なものだった。
まず、最初の座学の時点でくじけそうになった。
準備してあったつもりだったが、そのほとんどは解っていて当然なものとしてスルーされ、さらにランクが高い知識や考察能力を要求された。
連日ふり落ちてくる膨大な量の情報に、置いていかれないようにする事で必死だった。

「たいしたもんだよ。だって、お前はマクロスでの入隊で大学も出ていないのに、俺たちについて来ているじゃないか」
同期生からの声からは、輝をバカにした様子が感じられず、本当にそう思って声をかけてくれているのが解る。しかし逆にその事が、面子にこだわらなかった輝を奮い立たせた。

―先輩も、テストパイロットになるって言ってからは、電話もメールもよこさなくなった、きっと大変だったんだ。先輩だって頑張ったんだ、俺だって・・―

彼は覚えているだろうか。
命令に従っている方が楽だと言い放っていた時の事を。
そして、感じているだろうか。
成り行きで、いつに間にか立っている場所が、自分にとってどんな場所なのかを。

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2013-02-10 : 空白の2年間 : コメント : 2 :
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Re: なんだか輝カッコいい
コメントありがとうございました。
むむっ・・。もう若いと言われない我々なんですが・・。なんというか、ベタな必死の青春というか、そういうの書いてるの、楽しいです。
2013-02-17 21:14 : michy URL : 編集
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2013-02-12 14:29 : : 編集
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