SS 風の時間 4

劇場版マクロス帰艦後・・です。手前味噌ですが、SSきぼうのひかり の続き的なお話です。
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なんとか続きです。ジリジリ書き直したりしてます。

いやぁ~~、ぬるい終わり方ですが(^_^;)

ではでは
性的な表現が含まれますので、18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。





いったい、どうしたと言うんだろう。



未沙とあれほどまでに愛し合って、まさに一つになろうとした時に、輝は唐突に思い出した。彼女との待ち合わせの場所に行く途中に買った避妊のためのアレ。

初めてマクロスの街で、これを売りながら走る自販機を見た時は心底呆れたものだったのだが・・。
買う時は、こっそり人通りの少ない場所に呼び寄せて買う事も出来て、なかなか便利な機械だと思ったりもしたのだが・・。

その買ったアレを自身に装着して、再び抱き合った。
その気になった彼女を待たせての装着は、どうしようもない程のカッコ悪さだったが、その後また、彼女の躰に溺れてしまえば、そんなバツの悪い想いなど、さっさと消え去ってしまったと言うのに・・。

「・・いっ・・あぁっ・・!」

未沙が冷たくなった指先で、輝の胸を押した。

「未沙・・」

輝はもう一度指で彼女の場所を確認し、今度はその場所に再び体の中心で押し入ろうとした。

「あっ・・!」

未沙は顎を引いて、両腕を畳んで小さくなりながら、輝を押し戻そうともがく。

「痛い・・もう・・やめて・・」

消え入りそうな彼女の声に、輝は叫びたくなった。

こんな事があるのだろうか。あの遺跡で愛し合った時、お互いが初めてだと言うのに、驚くほどすんなりと事が進んだ。あの日、何度も二人は一つになって溶け合ったと言うのに。
輝が想像するに、よく言われるように女の子には、初めての時に破られる膜があって、それを破るには痛みを伴う。けど、それを通過したら、後は彼女も気持ちいいだけだと思っていた。

一度目は上手くいって、その後が痛い・・なんて事が、あるのだろうか・・。

肩をすぼめて小さくなっている未沙を見て、輝はどうしようもなく寂しくなった。
一瞬浮かんだ妄想が真実味を帯びてしまう。
「・・なんで?ひょっとして、誰か他に・・」
言いかけて暗く沈みかけた時、未沙が輝の言葉をさえぎった。

「・・ち、ちがうわ!あなたこそ・・」
見つめる潤んだ瞳から、じりじりと涙がこぼれた。
「・・階級で・・呼ばないで」

そう言った後、未沙は両手で顔を覆って、声を殺して嗚咽した。

ハッとして彼女を見た。
そういえば、つい、彼女を「大尉」と呼んだような気がする。
振るえる未沙の脇に両手をついて、じっと彼女を見下ろした。

マクロスに帰ってきたとき、輝は未沙が遠い人に戻った気がして、不安になった。
未沙は、輝より年も上で、階級は2階級も上で、士官学校主席卒業のエリートで。
でも、マクロスの街で会った時、未沙は変わらずにあの時と同じ未沙だった。
その事が、とてもうれしかった。

ひょっとしたら未沙も、輝より年も上で、階級は2階級も上で、なまじエリートである事が、不安な材料だったのかもしれない。

組織もなにもかも無くなってしまったあの荒れ果てた地球では、マクロスの中にいて軍人のままだったら見えなかった、素の二人がいた。

理屈ではなく、彼女の事を好きになった。
たぶん、初めて相手をリアルに感じながらの恋だったのだ。

「・・俺は、未沙が好きだよ」
両手で顔を覆ったままの未沙に静かに言った。

「イヤな呼び方をしてごめん・・。でも、それにこだわってる訳じゃない」
未沙が顔を覆う指を畳み、そこから覗いた瞳で輝を見つめた。

「・・いや、こだわっていたかもしれない・・俺も、君も。バカだよな、階級とか部下とか上官とかって、この社会で便利に生きるための、単なる記号だけだって言うのにな・・」

未沙が目を閉じると、スッと涙が流れて白い頬を濡らした。
そして、そのまま輝の胸に額を寄せて、小さく鼻をすすった。

ふんわりと鼻先をかすめる柔らかく甘い香りのする髪に、輝はそっと口づけた。
手を伸ばして、ベッドの脇に寄っているシーツを、お互いの肩まで引っ張り上げた。頬を染めた未沙が、ごそごそとシーツを目元に寄せる。
涙で重く濡れた睫毛が、シーツの端から覗いて見えた。

「今日は休もう・・。続きは、また今度な・・」

二人は向かい合ったまま、シーツにくるまった。枕を共有して額を寄せ合う。
一つになった訳ではないのに、初めて抱き合った後の、あの倦怠感と満足感に似たしびれを、二人は感じていた。

未沙が目を閉じて、肩が呼吸でゆっくりと揺れ出したのを確認して、輝も目を閉じた。





「・・ん」

未沙の小さく呻く声に、輝は目を覚ました。

どのくらい経ったのだろうか。あまりにも良く眠ったので、ひょっとしたら、もう翌日なのかと思ったほどだったが・・。
時間にしては、あれから1時間をすこし過ぎただけだった。

体を起こしかけた時、未沙が輝の腕にそっと触れた。

「・・外はすごい風・・。・・ねぇどこに行くの・・・?一緒に・・」
「ここはもう、マクロスの中だ。心配いらないよ」

未沙は輝を見上げて、 あっ・・ と小さくつぶやいた。
そして、自分も輝も裸のままだと気が付いて、頬を紅く染めてシーツで胸元を隠した。

起き上がろうとした輝は、再びベッドに沈んで彼女の方を向いた。
「眠れた?」
「えぇ・・、あの時みたいに・・」
「あの時・・?」

未沙が頬を染めてシーツにもぐっていくのを見て、輝はやわらかく笑った。

「俺も・・。あの時みたいによく眠ったよ」
あの遺跡の夜の時のように。


輝と未沙は、ぎこちなく微笑みあった。
そのまま唇と唇が触れるだけのキスを繰り返した後、二人は再び抱き合った。

もうお互いの吐息しか聞こえない。

この後、二人を遮るものは、何もなかった。

この世で二人だけと絶望したあの時。
不安と怒りと絶望を超えて一つになったあの時。
あの時から確かに、二人の時間は続いている。取り巻く風が変わっただけ。

新しく始まる、風の時間。

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2012-06-30 : SS 風の時間 : コメント : 1 :
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7/1 非公開コメントさま
嬉しいコメントありがとうございました。
ありがちな感じだなぁと思いつつ、自分が萌える展開で突き進むとあんな感じに。。(^_^;)でも、愛おぼ的にはやっぱりねぇ・・って思っちゃいました。仲良しな二人は楽しいです、やっぱり(*^_^*)

7/3 非公開コメント様
そうなんです、やっちゃいました。悪気なくうっかり階級呼びとかしちゃいそうな、うっかり輝。素もシステムの中で生きるのも両方自分なんだろうけど、漂流中に素を知ってしまったら・・と。好きなんですよね~~この二人の漂流中の妄想・・。軍隊の中で負けるもんかと生きてきた未沙が、ぽかんと何もない場所に、バカと思っていた輝と・・。
今回は若干説明臭くなっちゃいましたが、そういって頂けてうれしかったです。ありがとうございました(*^_^*)
2012-07-04 20:38 : michy URL : 編集
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