SS camera

テレビ版SSです第2部前の、空白の2年間ってやつです。
27話大戦後すぐくらいの設定・・です。



ではでは、私の妄想に、よろしければお付き合いくださいませ(#^.^#)



焦土と化した地球にマクロスが降り立った光景を、輝は未沙と一緒に見た。
それは確かに希望そのものだった。しかし、二人とマクロスに乗っていた人々は、日を重ねるごとにつらい現実と向き合わなければならなかった。

輝は今日もバルキリーで生存者の捜索に奔走していた。

都市という都市の上空を飛んだ。街の様子を残している場所があれば、まずは上空から街の様子を撮影し、記録する事が彼の任務となる。
撮影のための偵察機が不足しているなか、バルキリードライバーもこうやって状況の確認をする事が、重要な任務になっていた。

とある都市の上空にさしかかる。そこは、まだ建物が残っているように見えた。
その事を、臨時の司令センターにいる未沙に報告し、撮影を開始する事を告げた。
「スカルリーダーよりコントロールへ。目標の撮影を開始する」
「了解・・。どう・・?どんな風・・?」
「・・今から撮るよ・・」
その声の響には、明るいものは無い。
未沙は小さく、気を付けて・・と言って答えた。
輝は操縦をオートに切り替えてから、足元の収納ケースから一眼レフカメラを取り出した。

小気味よいシャッター音がコクピットの中で響き渡る。
思ったより建物が残っている。生存者がいるかもしれない。

輝は僚機と共に、低空低速でその都市の上空を飛んだ。エンジン音を聞きつけて、救助を求める人々が地上に現れないかを、目を凝らして観察した。

広く開いている場所に、ガウォークで垂直着陸をし、地上に降り立って街の様子を調べる事を指令センターに通知し許可を得る。
もう、こんな事を何回も繰り返しているのだ。

降り立った町は、上空から見るよりもまだ都市の様相を残しているように見えた。
少し歩いて、街の状況を次々と写真に撮る。
輝は一瞬、頭がぼんやりする感覚に襲われてカメラを降ろした。手の中のカメラを見る。

この一眼レフカメラは、かつて父が持っていたカメラと同じメーカーの物だ。
入学式だなんだと、事あるごとに写真を撮ろうとする父を、いつしかうっとおしく感じたものだった。
父が撮ってくれた写真には、あの時の幸せな時間が詰まっていたのに・・。

ふと我に帰った。今の自分の任務は、この現実を正確に記録する事。その事に、まったく異論は無かった。しかし・・。
カメラとは、こんな悲しい使い方をするものだったのだろうか。
あの幸せなカメラと写真は、どこにいってしまったんだろう・・。

「・・一条中尉、どうしたんですか?」
僚機のパイロットがぼんやりする輝に話しかけてきた。
輝は手にしたカメラを見て言った。

「・・いや、良いカメラだなと・・思って・・」

「・・はぁ・・」
「さぁ、もう帰ろう。この街は改めて捜索が必要そうだ。早くその事を連絡しよう」

輝ともう一人のパイロットは、バルキリーに乗り込んで離陸前のチェックをテキパキと済ませ、砂埃を上げながら再び空に舞い上がった。



「それで、これを買ったの・・?」
「うん、やっぱりこういった物って、楽しむ事が基本だろ」
未沙は輝に手渡されたそれに、再び視線を落とした。

二人同じの休日、輝は未沙をさそってオープンカフェにいた。
あの大戦が終わってから、二人はよく食事をしたり、休日を共にしたりする時が増えるようになっていた。
あの絶望的な状況の中でお互いを見つけた時の高鳴りが、いつしか絆のようなものになったのだと、輝は思うようになっていた。

この日、輝は未沙に見せたい物があって、その事で彼女を誘ったのだ。それを手に入れたくなったいきさつも、今は未沙に恥ずかしがらずに話す事が出来る。

「・・確かに任務で使うやり方って、楽しくはないわよね・・。でも、これ・・高かったんじゃない・・?」
「まぁね。けど、忙しくて使うヒマ無くてさ、貯まる一方だし・・貸して」

輝は未沙に手を伸ばして、彼女がまじまじと見ている一眼レフカメラを手に取った。
右手でボディを持って、左手でレンズを支える。
「これさ、シャッター音もアナログっぽくていい感じなんだ。それに液晶だけじゃなくて、ファインダーってとこもいいだろ?」

輝は持ち上げたカメラのファインダー越しに、未沙を見た。
未沙はほんのちょっとおどろいた顔をして、小さく俯いた。その仕草に自然な彼女を見た気がして、なんだか嬉しいような気分になった。
口元が緩んだ輝を見て、未沙は少しムッとしたように輝に言った。

「何よ、一体それで何を撮るつもり?アイドルの写真?」
「違うよ、俺はアイドルオタクじゃないしね」
輝はカメラを膝の上に置いて、にんまりと笑った。

「早瀬大尉でも撮ろうかな」

その瞬間・・。
未沙は首筋まで紅くなった。そして、それを隠すように首に巻いた春用の薄手のストールを、細い指で顔に引き上げた。
「もう!へんな冗談言わないで」

「冗談なもんか、ほら!」
自慢のシャッター音が響く。
「やだってば!」
「なんで?いいだろ?」
「やだって・・」
腰を捻って背中を向ける未沙を見て、輝は面白半分でシャッターを押した。

ふと、目についた。
未沙のすらりと伸びた首筋と、やわらかくふくらんだ胸元。少しだけためらったが、同じようにシャッターを押した。その時、頬を染めて怒った顔の未沙が突然振り返った。
輝は一瞬ドキリとしたが、その怒った顔の未沙にピントを合わせた。

かわいいじゃないか・・

「未沙・・」

パシャ!

未沙が両手で口元を覆った。ファインダー越しの未沙になら、輝はそれまで以上に素直になれた。
「あぁ、そうだ、休みの日まで早瀬大尉って呼んでるんじゃ、休んだ気がしない。未沙でいい?」

パシャ!
照れたように表情を変える未沙に向かって、輝はシャッターを押してから、カメラを降ろした。

「俺の事は輝でいいよ」

「じゃあ・・、輝・・」

未沙は小さく俯いて、瞳だけふんわりと輝に向けて彼の名を呼んだ。
ファインダー越しではなく、明るい光が降りそそぐ中で見る未沙の姿は、なんだかとてもきれいに見える。
今度は輝の方が未沙をまっすぐに見る事ができなくて、視線をそらせた。

「ねぇ、さっきの写真・・見せて・・」
オズオズと、少し遠慮がちに未沙が輝に話しかけた。
「・・なんで?」
輝はとぼけてみせた。
「だって・・さっき、とても変な顔・・だったと思うから・・」
「そんな事ないよ、大丈夫だよ」
「大丈夫なら見せてよ」
「だから大丈夫だって」

輝が撮った写真の中には・・未沙には見せられない写真があった。あの、彼の視線を写した写真。

「液晶でプレビューできるでしょ」
「あぁ、この液晶壊れてるんだ」
「・・もう、調子いいんだから」

そう言って、拗ねたようにそっぽを向く未沙の横顔に、レンズを向けた。


「見せられないよな・・」
未沙と別れて家に帰った輝は、さっそく写真のデータをプリントアウトした。
今日撮った、色々な未沙。
父親がかつてしてくれたように、彼女の写真を丁寧にアルバムに貼った。

幸せな写真は、きっとこれからも増える予感がした。


おわり

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2012-03-14 : 空白の2年間 : コメント : 4 :
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Re: No title
うーん・・この時期は自覚無だったと思ったり。。
よく解りませんが、男の子が自分に明らかに好意を持っている女の子が居て、特に嫌でも無かったら、こんな態度かな・・・あわよくば・・みたいなイメージだったりします。読んで下さるかたによって、捉え方違うのが面白いです。
2016-07-22 22:25 : michy URL : 編集
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2016-07-22 17:31 : : 編集
Re: No title
びえりさん

前にかいたSSにコメントを頂くと、とても嬉しいです。ありがとうございます
好きな人を見ていたいけど、視線は合わせられない・・けど、カメラなら・・的に書いた・・お話でした。
これを書いた時、戦闘機をいかにきれいに撮るかを試行錯誤していた思い出が・・
スゴイレンズ、買っちゃいました(^_^;)



> これ初めて読まさせていただいた時、むっちゃ男の気持ちの分かる人だな〜とmichyさんの事思ってました!
>
> なんて言うか、変な意味じゃないんですけれどそう言う目線って絶対持っちゃいますよね男って。
> あ、変な意味か…
2015-06-18 16:54 : michy URL : 編集
No title
これ初めて読まさせていただいた時、むっちゃ男の気持ちの分かる人だな〜とmichyさんの事思ってました!

なんて言うか、変な意味じゃないんですけれどそう言う目線って絶対持っちゃいますよね男って。
あ、変な意味か…
2015-06-17 16:58 : びえり  URL : 編集
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