SS はじまり

ううっ・・グッバイガール辺り・・と言うか、グッバイガール直撃SSです。
あんまり、物語をなぞるみたいなSSは・・うーんと思うんですが、好きなお話だしぃ~と、書いてしまいました。

よろしければお付き合いくださいませ(#^.^#)


早瀬未沙が、マクロスからいなくなった。
たったそれだけの事なのに、今までと、なにか違う・・。


輝は、ミンメイ熱愛報道を宿舎で一人で見た。ちょうとその時、デートの準備で浮かれるマックスが突然部屋にやってきて、騒ぐだけ騒いで帰っていた。
新しい恋にはしゃぐマックスと、成就しそうもない恋から離れられない自分・・。
どことなく、居心地が悪く感じて、輝は部屋をでた。
向かった先は地球が見える展望公園だった。

ベンチに座って、ぼんやり地球を眺めた。瞼に浮かぶのは、あの閉鎖空間での、たった二人の結婚式。彼女は涙で濡れた瞳を閉じて、そっと唇をさしだした。
でも・・今彼女があの唇を重ねる相手は、自分ではない。
ミンメイは、もう遠くに行ってしまった。今の彼女はマクロスのトップアイドルで、もう、あの閉鎖空間で「お嫁さんになりたい」と泣いた彼女は、もういない。

どうしようもなく、一人っきりだと感じてしまって、すがるように目の前の地球を見た。

寂しさに埋もれそうになった時、戦死した兄貴分の恋人が声をかけてくれた。
「身近すぎて、自分の気持ちに気が付いていないだけ・・。そんな人、めったに見つかるものではないわ・・」
そんな人、めったに見つかるものではない。そんな人って・・。

クローディアが去った後、輝は展望公園から、じっと地球を見つめた。

これほどまでに美しい、自分たちの星。
地球は、ついこの前にはっきりと見た。大気圏すれすれの場所から見える地球。薄い大気が地表を覆っている事が、はっきりと目視できる。それは奇跡のような、感動的な光景なのだが・・。

あの時は、その美しい大気圏に近づいてしまった事が、なんだか寂しかった。

「あんたには、色々と世話になったし・・。文句も言ったけど、あんたの管制、大したもんだよ・・」
もっと大事な話もあっただろうに・・。あれだけの言葉だったら、まるで管制指示だけを褒めてるみたいじゃないか・・。

でも、何を言えばいいのだろう・・。

そして、地球に降りる未沙へ伝えたい事が何なのか、輝には、まだ解らなかった。
いよいよお別れという時、とっさに言葉が浮かんだのに、もう通信が切られていた。
輝はシグナルサインにその言葉を託した。

今、目の前にある地球も、あの時と同じように美しく輝いている。

・・アラスカって、どの辺かな・・



和平の道を探るために地球に降りる事を決めた時、一番にその事を伝えたいと思った相手・・。

あの子に話そう。きっと、あの子なら解っててくれる・・。

鬼の早瀬と怖れられている自分に、いつも突っかかってくる、あの子。生意気なくせに、どこか優しくて、そして、捕虜になるという困難を一緒に乗り越えた、年下のあの子。

鬼の早瀬でいる事にも、理由があった。いくら士官学校主席卒業といえども、まだまだ経験が足りないのに、いきなり主任管制官に任命されてしまったのだ。自信の無さを、悟られないように、いつも強く指示を出すようにした。元々優秀である事もあり、その隙のない指示に信頼されるようにはなったが、同時に、「鬼の早瀬」と陰口をたたかれるようになっていた。

ライバーに恋をしていた頃は、だれも未沙の事を「鬼」とは言わなかった。一人になって、想いでの中の恋人と一緒にいられる時間は、彼女にとっては、自分が一番自分らしい時間に戻れる素敵な時間だった。
あの火星のライバーの部屋から、輝に引きずり出されるまでは。

輝には、その後も容赦なく感情をぶつけられた。
「あんたは安全な場所にいるじゃないか!」
輝のむきだしの感情は、未沙の凝り固まっている心を、くじける程までに打ち砕いた。
砕かれた心の後に現れたのは、素直に話せる自分だった。

生意気で腹が立つ事も多いけど、いつしか輝を見つけると、そばに行って話すようになっていた。
そんな時、突然和平への道が見えたのだ。和平への道は、巨人たちを知る自分達にしか出来ないのではないか。あれほど嫌だった、父のコネクションを使う事を考えた。しかし、マクロスの乗員と違い、異星人を全く知らない地球の幹部たちを、どう説得すべきか・・。

不安な気持ちを言い訳に、未沙は輝に別れの言葉を切り出せずにいた。言えない理由を、忙しさにかまけて考える事もしなかった。
いよいよ出発というギリギリの時になって、未沙はようやく輝に別れを告げた。

その別れの言葉は、寂しくも淡々としたものだった。
本当に言いたかった事は、もっと他にあったかもしれないのに。もっと聞きたい言葉もあったかもしれないのに。

地球に降りる途中に、敵に攻撃されたシャトルを、輝が助けに来てくれた。火星から救い出してくれたあの時のように。

「戻ってこれないかもしれないって、言ってたけど・・」
「父の力を借りてまで、特別扱いして欲しくないの・・」
小さな沈黙には、それまで感じた事がない何かがあった。

通信が途絶えた後、輝から送られたシグナルサイン。

キクンノモクテキノタッセイト、マクロスヘノ、ブジキカンヲイノル。イチジョウヒカル・・。

バルキリーは腹を見せて遠ざかって行った。あの子が乗ったバルキリー、いや・・彼が乗ったバルキリーが・・。

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2012-01-21 : 第一部 : コメント : 0 :
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