SS tea time

テレビ版SSです・・。

あぁ・・こんなにテレビ版にキュンキュンさせられるなんて・・。
気が付けば、テレビ版鑑賞なんて感想記事を書いていられなくなっております。妄想三昧です・・。

ミクロコスモスの、閉鎖空間キス手前の後のSSでございます。
よろしければお付き合いくださいませ(*^_^*)




お互いの傷ついた気持ちを慰めるには、街は穏やかさに欠いていた。

突然始まったトランスフォーメーションは、恒例になりつつある、二人のケンカの最中に起こった。騒ぎの真っ最中に、行き場をなくした二人が得た物は、じっくりと話す時間だった。

騒動の中で、いきなり訪れた二人で話す時間。その時間に、どことなく癒された二人だったが、その後二人が見たのは、それぞれの恋する相手が腕を組んで、ホテルに入っていく光景だったとは・・。
なんとか自分を納得させて、任務に帰ろうとする輝を引き留めたのは、他でもない「任務の鬼」の早瀬未沙だった。


「・・どっか、喫茶店でも開いてればいいんだけどな・・」
「そうね、この様子じゃ、お店でお茶なんて、ちょっと無理みたいね」
二人はぼんやりと歩きながら、落ち着く先を探していた。しかし、街まだ突然のトランスフォーメーションからの衝撃から立ち直っていないようだ。

「公園に行ってみようよ。飲み物なら、まだあるし」
輝は手に持っている缶ジュースを軽くゆすって、未沙に笑顔で言った。
「そうね、ちょっと座りたい感じだし・・」
「疲れた?」
「足が痛くて・・。このブーツ、履き慣れてないないから・・」

輝はぎこちなく歩く、未沙の足元を見た。
そして、ひょいと視線を未沙の顔に戻して、いたずらっぽく笑った。
「へぇ~、そんな女の子みたいな事言って。普段から軍用ブーツでカツカツ歩いてるくせに?!」
「ひどい!かわいいから気に入って買ったブーツなのよ!それに軍用のブーツなんて履いたことありません!」
怒る未沙をみて、急に可笑しくなってきた。
「ぶぶっ!あはは!なんか笑える!」
「何よ!最低!」
笑う輝にバックで叩いてやろうとする未沙を、輝は背中を反らせてそれをかわした。
「おっと!」

「きゃっ!」
まさか輝が避けるとは思っていなかった・・。未沙は履き慣れないブーツの高めなヒールのせいか、バランスを崩してその場に倒れてしまった。

「あぁ!大丈夫?!」
輝は慌てて未沙に駆け寄って手を差し出した。
「もう!あなたが避けるからよ!」
そう輝を一喝して、ひるむ輝を横目に立ち上がろうと地面に手をついたのだか・・。

・・痛いっ・・

どうやら足首を捻挫してしまったらしい・・。
だか、さっきあれほどお気に入りのブーツをバカにした輝に、こんな姿は見せたくない。

「ねぇ、ほんとに大丈夫?足ヤバイんじゃない?」
座り込んでモジモジする未沙の顔を、輝が心配そうに覗き込んだ。
「平気よ・・」
そう言って立ち上がった未沙だったが、明らかに足元がさっきよりおぼつかない様子だ。大丈夫?という目線を送ってくる輝を無視して歩き出したが力が入らない。
「やっぱり駄目じゃないか。無理すんなよ」
輝はよろける未沙の腕をつかんで、彼女を支えた。
未沙の二の腕を掴んだその掌は、意外なほどに大きくて、その感触に、未沙はほんの少し息を止めた。

「ほら、少し休めばなんとかなるだろ」
輝はそう言って、未沙の前にしゃがんで背中を見せた。
「・・なによ、おんぶしてくれるとでも言うの?」
「この格好で他に何があるって言うんだよ、早くしてくれよ」
出来れば、この背中を蹴っ飛ばしてやりたいものの、これほど足が痛くては・・。
未沙はおずおずと、輝の言う通りにした。

背負った未沙は、意外なほど軽くて、そして華奢だった。士官学校主席の彼女は、当然様々な訓練も乗り越えてきたはずだ。硬い筋肉質な躰を想像していた。それなのに、筋肉を感じさせるどころか、おずおずとつかまっている両手は細く、その付け根辺りにある胸はやわらかくふんわりと、輝の背中に触れている。
それまで感じた事のない気恥ずかしさに、輝は黙るしかなかった。

「・・ごめんなさい、重いでしょ・・」
沈黙に耐えられなくなったのか、未沙が背中から話しかけた。
「全然・・。そうだ・・あの・・聞いてもいい?」
「・・うん、なに?」
ついさっき、未沙と閉鎖された空間で話したあの事で思い当たる事があった。その事を確かめてみたくなった。

「大尉の、昔憧れてた人って、火星にいたの?」
輝の肩の内側に置かれていた未沙の細い指に、小さく力が入るのを感じた。その弱々しい力に、輝の胸に小さな痛みに近い、何かが走った。

「・・そう、火星にいたの・・」
「火星か・・。やっぱりエリートなんだろうな・・」
未沙は輝の背中で、体を小さくした。きっとまた、エリートだとからかわれる。自分の事はともかく、大事な思い出の人の事を言われたくなかった。

「じゃあ、俺とは大違いだな・・」

意外な言葉だった。頬は紅く染まり、その自分自身の反応に、未沙は動揺した。
「あ、あなただって凄いじゃない。とても優秀なパイロットだわ」
「ははっ、そんな事言ってくれるのは、大尉だけだよ」

そう言う輝が、どことなく近くに感じて、未沙は彼の髪に額を寄せた。
目指す公園は、思ったより被害が少なく、くつろいで居られそうだった。

「今日は大尉にジュースご馳走になったから、今度は飯おごるよ。色々聞いてほしい事もあるし」
「のろけ話ばっかりだったら、いいのにね」
「嫌味だなぁ」

ベンチに腰を降ろした二人は、改めて缶ジュースで乾杯した。

街は復興に向けてざわつき始めた。いつまでものんびりは出来ないけど、もう少しだけ、ささやかなtea timeを楽しんでいようと、二人は思った。
ひょっとしたら、これが二人にとって、初めてのtea timeなのだろうから

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2012-01-06 : 第一部 : コメント : 0 :
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