SS きぼうのひかり 1


むむっ・・久々に輝未沙です。

やっぱりここかぁ~って感じですが、劇場版放浪記・・です。
でも、楽しいですねーーヒカミサって(*^_^*)うふふ

短いですが、続くつもりです。よろしければお付き合いくださいね(p_-)





「ここが私たちの地球だなんて・・」

廃墟さえない、もう何もない地球を目の前に突き付けられた二人は、ただ茫然とするしかなかった。
その巨大な死を受け入れられない二人は、次第に怒りを生じさせ、それをお互いにぶつけ始める・・。

初めは、ポジションパワーのある早瀬未沙が、ヘマをやらかしてしまった弱みのある一条輝に、そのどうしようもない怒りをぶつけた。輝は石のように固まって未沙からの感情にじっと耐え、そして視線で未沙を殺すように睨みつける。それを受ける未沙も負けじと睨み返して、力では負ける事が解りきっている輝に対抗しようとした。それでも、怒れば怒るほど、悲しみや辛さが未沙自身を襲い、そしてアラスカの本部が壊滅しているのを見て、怒りだけで支えていたものがあっさりと崩れ去った。今、彼女を支えているのは、弱みを見せまいとする虚勢だけだ。

「東京も、確認してみますか」
冷めた声で一条輝が早瀬未沙に言う。
二人にとって母国の首都でもある東京も・・きっと・・。
「そうね、行ってみましょう」
未沙は、輝の提案に頷いた。
立っていなければ・・そして、統合軍にとっても重要な拠点である東京の状態を確認するのが、士官としての使命なのだ・・。未沙は自分を奮い立たせた。


太平洋上を飛行している時、それまであった振動が感じなくなった感覚を覚えて、未沙はバルキリーを操縦する一条輝に確認してみた。
「なんだか、すこし機体から受ける感覚が変わったみたい。なにかしているの?」
輝はまっすぐ前を見て、静かに、少し得意げに言った。
「はい、今、二基のエンジンを停止させて滑空をしています。なるべく燃料を節約したいんで・・」
「大丈夫なの?」
「今、条件がそろっていますから大丈夫です。高度が下がり過ぎたり失速する前に、またエンジンを回します」
未沙は感心したようにほっと息をついて言った。
「知らなかったわ。バルキリードライバーが滑空の訓練をしていたなんて・・」
「してませんよ」
調子を変えずにあっさりと輝はそう答えた。
「えぇ??」
「以前、テストパイロットが滑空のテストをやったって時のデータを思い出したんです」
「思い出したって・・あなた、そんなうろ覚えな知識でエンジンを停めるだなんて、よくもやってくれたわね!」
最後は怒り声になった。

うるさい女だ・・。

輝は露骨に舌打ちをした。未沙に聞かれようが構わない。上官だろうがなんだろうが、ここにはその階級を位置づける組織など、もうないのだ。
彼女に一応の礼儀をもって接しているのは、ただ、そうやっているのが楽だからに過ぎない。

「ここは黙っててもらえませんか。さっきだって、大尉が下手に操縦桿を握ったせいで、あんな形で着陸したんだ。僕が立て直さなかったら、もう死んでましたよ」

輝の言う通りだった。自己嫌悪で投げやりになっている輝が、どうしようもなく役立たずに見えて、とっさに操縦桿を握ってしまった。そのために、今や二人の命を守る最後の砦となったバルキリーを不時着させてしまったのだ。
それに、組織というネットワークのない今の状況では、実力がある者が力を発揮する。今で言う実力とは、バルキリーを操る能力であり、この荒れ果てた地球で生きていく知恵と力の事だ。それを持っているのは自分ではなく、役立たずな部下の一条輝だ。そう思って、未沙は自分の無力さに沈むしかなった。

「わかったわ・・」
「わかったならいいんです。今、あなたと議論している暇はありませんから」

・・嫌なヤツ・・

元はといえば・・そう思い始めて考えるのを止めた。今、一条輝を責めたところで、なにも状況は変わらない。ひょっとしたら、彼が一番傷ついているのかもしれないのだ。

「・・東京は・・この辺り・・もうすぐです」
海の向こうに陸地が見え始めた。バルキリーの液晶パネルの一部に、3Dの地図モードが表示されている。しかし、位置関係は正しくとも、3Dの地図に表示されている、かつての懐かしい故郷の山並みや海岸線など有りはしなかった。地形が変わるほど、激しく爆撃された事を意味していた。
「降りてみますか・・」
「・・そうね」

つらい現実がある事は、上空から見ただけで解る。でも・・ひょっとして、生きている人がいるかもしれない・・、まだ、希望があるのではないか・・と、そう思えて荒れ果てた街に降りる事をためらわなかった。

そんな切なる想いが、二人をさらにどん底に突き落とす事になると知らずに。

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2011-10-07 : SS きぼうのひかり : コメント : 0 :
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