SS ファイターパイロット 9

いつもご訪問ありがとうございます。お付き合い頂けてる事、感謝です

SSの前ですが、コメントレスです

豪渓仙人さん
ありがとございます。ワタシ、豪渓仙人さんのブログにコメント書いたんですが、上手くいかなくて・・で、こちらで。。ワタシも、以前ここを読んでくださってる方に紹介をしていただいて、ロックさんの本を読みました。同じく輝パパのイメージです。もう一人のパパイメージはファントム無頼の神田鉄雄二尉。「戦闘機乗りは結婚なんかしない。女を不幸にする」とか言いながら、熱烈な恋をして・・ってイメージです、ハイ。妄想を食べて生きてます。

Eriさん
むうっ!またしてもワタシに癒しとパワーをありがとうございます!!じゃあ楽しく妄想して書いちゃって出しちゃいますね!!


では、完全オリジナルあいおぼ設定、オリキャラあり・・の続きです・・。
またまたよろしければ、お付き合いくださいませ



目を閉じているのに、チラチラと明るい光が瞼をかすった。

夢を見ているのかな・・
今が夢の中なのか、それとも今までが夢だったのかな。


ゆっくり目を開けると、そこは見慣れた光景だった。
まだふっくらと形をとどめたランドセルと、壁一面の飛行機のポスター。開けられた窓からは、祖母が植えた夏の花が鮮やかに咲き、その花々との色合いを無視したひまわりや朝顔は、自分が夏休みのずっと前に植えたものだ。

卵を焼くにおいがした。

父ちゃんの焼く卵は固くてあまり美味しくない・・。
ばーちゃんのご飯、はやく食べたいな、ばーちゃん早く帰ってこないかな・・。

布団の中で背伸びをして、そのままTシャツとズボンに着替えて、裸足のままペタペタと短くて暗い廊下を歩いて台所に到着した。

「おう輝、起きたか。今日はラジオ体操は行かなくていいのか?」
父は大きな背中を丸くして、不器用に卵を焼いていた。
「うん、土日は休みだよ」
輝はテーブルの椅子に腰かけて目をこすって、いつものように大好きな写真を見た。

台所の壁には、ごみの収集日を書いたチラシの隣に、父の写真が飾られている。一枚は、父が軍隊にいたころに達成した、戦闘機での2000時間の飛行を記念して撮ったコクピットにいる写真。もう一枚は、派手なカラーリングを施して、スポンサーのロゴをいっぱいにペイントした、プロペラの複葉機と一緒に写る写真。

「今日さ、オレばーちゃんとこ行ってくるよ」
「そうか、もう1年生だから一人で病院まで行けるな、水筒忘れるなよ」
「うん、ばーちゃん、はやく帰ってこないかな」
椅子に座って足をブラブラさせた。
父は黒く焦げた卵焼きをテーブルに置くと、輝は椅子からおりて水切りかごに無造作に置かれた食器をテーブル上に並べた。
「俺が行くより、お前が行ったほうがばーちゃんも早く治るな」
「はやく、ヨメもらえ」
「なんだ、お前までばーちゃんの味方か?俺の嫁はお前の母ちゃんだけなんだよ」
「ふーん」
父は明るい瞳を細めて大きくなった輝を見た。日焼けした目尻にくっきりと皺が刻まれる。友達のお父さんと比べて父は若くはなかったが、輝とっては自慢の父ちゃんだ。

「そうだ、ばーちゃんの見舞いから帰ったら、部屋の掃除しとけよ。今日から住み込みで外国人の兄ちゃんが来るんだ」
「兄ちゃん?」
「ライセンスは持ってるから、お前より先輩だな。俺の資料置場にしてる部屋を片付けて、その先輩の部屋にするから、それまでお前の部屋で一緒に寝てくれ」
「先輩かぁ・・」

輝は背伸びして台所のシンクで手を洗った。
椅子に座ろうとした時に父が言った。
「おい、母ちゃんにおはようは?」
「あ、忘れてた」

廊下をまたいですぐが、仏壇がある部屋だ。慣れた手つきでライターに火を灯し、線香に火をつけた。チーンと鐘を鳴らして小さな両手を合わせた。
ぱっと顔を上げる。母の写真はとてもきれいだ。長く明るい髪をして、やさしく笑って・・。
「あれ?」
いつもと違う・・。写真の中の女は肩までウエーブのかかったやわらかい髪をして、目はトロンとして、なんだかだらしない。
「おかしいな・・」
そう言ってじっと写真を見ていると、写真の中の女がぬっと手を伸ばしてきた。
「うわっ!!」


「うわっっ!!!」
目を開けると、そこは初めて見る部屋だった。部屋の隅には段ボール箱が置かれて、片付けきれない衣装がその上にもっさりと置かれている。
女の部屋だと、すぐに解った。

まだ重い胃と頭を抱えて、輝は体を起こしてそのままベッドに座った。
額に汗がうっすらと膜をはって、意識していない涙が目尻をかすった。
・・なんで今、家の夢を見たんだろう。思った以上にビビッていたのかな・・。片手で頭をガリガリと掻いて、ついと顔を上げた。

卵を焼くにおいがする。
やっと、いろんな事がつながった。夕べ飲みすぎて、一緒に飲んだ女にこの部屋に連れてこられて・・。
そう思いをたぐっていると、ドアが開いて昨日の女、エミが顔をだした。
「起きた?顔洗ったら?」
どうしたらいいものか、解らない・・。
「あの・・」
「昨日はびっくりさせちゃってごめんね~、いたずらが過ぎたわ」
「・・いたずら・・」
朝の光でよく見ると、彼女は輝より随分年齢が上に見えた。昨日はすいませんなどと、謝るのも変だし・・、かと言ってこのまま会話がないのもバツが悪い。
「・・エミさんって、いくつなの?」
「いきなり齢きくのね・・。26よ」
「ふーん・・」
また顔を伏せてしまった。やっぱり、上手に喋れなかったから。

気の利いた会話などできるはずもない輝を見て、エミは少し笑った。昨日の便器を抱いて言った彼の台詞を思い出した。
不思議な子だと思った。最新鋭の戦闘機で訓練をしているのは、肩と胸のバッチで解った。目的地に向けてまっすぐに見えた視線をからかってみたのだけど、今はなんとなく、小さな子の瞳ように見える。それでも、まっすぐなのには変わりはないが。

「朝ごはん食べる?たいしたもんはないけど・・」
「食べる」
もそもそとベッドから降りて、昨夜自分が汚してしまったシーツやらシャツやらを手に持った。
「これ洗うよ。風呂場貸して」
エミはそう言う輝を見てプッと笑った。おとなしいのか図々しいのか、よく解らなくて・・。


輝にしても、なんとも不思議だった。昨日初めて喋った女の人の部屋で、今朝飯を食べようとしている。ここはもう、得意技の開き直りで対処する事に決めた。
彼女が作った「オムレツ」は、ふっくらとして黄色くて、美味しそうだった。
フォークを入れると、中身はとろっとした半熟だった。
「すごい。半熟だ」
輝は顔をあげて真顔で言った。
「やだ、ママの料理と比べてんの?」
クスと笑う彼女から視線を落とし、平気そうな顔で呟いた。
「母さんはいないよ」
「そう、パパと別れちゃったの?」
「俺が生まれた時に死んだんだって」
と他人事のように言った。

オムレツはいい感じに半熟だったが、フォークで救い上げるとやわらかすぎて、ボタッとテーブルの上に落ちてしまった。
落ちた卵の端くれを拾い上げようかと手を動かす前に、エミが自分のフォークでもって、落ちた卵を拾い上げ、口に入れた。

自分の食べこぼしをそんな風にして処理した人を初めて見た。
じっと、彼女の動く口元を見てしまう。
「なに?行儀わるい?」
「いや・・母鳥みたいだと思って・・」
ヒナ鳥に餌を運ぶ、母鳥をイメージしたのだろうか・・
「母鳥はこうでしょ」
エミは自分の皿にあったオムレツをすくって、輝に差し出した。
反射的にパクッと食べてしまう輝を見て、彼女はクスクスと笑った。
輝にしてみれば、情けないような嬉しいような面白いような、やっぱり不思議な気分だった。


「俺、帰るよ。朝飯ありがとう」
食べ終わった輝は、もそもそと立ち上がって腰の辺りを探った。
「あれ・・俺、財布落としてない?」
「財布ならお友達が持ってたわよ、貴重品だからって」
「柿崎・・アイツ・・」
財布がなければ帰りのバスにも乗れないじゃないかと舌打ちしたい気分になった。
「飛行機がなけりゃ、飛んでいくわけにもいかないもんね、送るわよ」

地上に降りてしまえばただの人というところか・・。
情けないついでに、彼女に送ってもらう事にして、お礼というほどではないが、先に乾いたシーツをちゃんとベッドのマットにかけた。皺ひとつなくきっちりと、そして端を三角に折り、しっかりたたみ込んだ。
軍隊入って一番初めに教えられたのが、このベッドメーキングだったのだ。そして、またこんなところで、身についた事を発揮している事を、もう面白いと思ってしまう事にすると、感じていた居心地の悪さも、きれいに消えてしまうかのように感じた。

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2011-09-01 : SS ファイターパイロット : コメント : 0 :
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Author:michy
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