SS ファイターパイロット 3

コメントレスに続いて本日二つ目の更新です。
なんか、忙しくなる予感が・・・。

でも、良い気分転換になるし、楽しいし、ぼつぼつ書いていきますね。

その3・・です。輝訓練生妄想です。
ワタシって、輝好きなんやなぁ・・。シミジミ・・。







現代の歩兵には、重火器や、航空機、ヘリコプターに支援され、あらゆる場所に立ち入っていける総合的で優れた能力が求められる。そしてテクノロジーが進化した今であっても、歩兵の根本的な任務は徒歩で複雑な地形を走破し、隠密的に、自己完結的に移動することである。
迷彩服を着て重い装備を背負って歩く一条輝は、航空学生の頃に習ったその一文を、まさか歩兵の立場で体験することになろうとは思ってもみなかった・・と噛みしめるように思った。


バルキリードライバーになるためにはるばる遠くからやってきた訓練生達が砂漠の中に立つ航空基地から移動して着いた先は、陸軍の特殊部隊の訓練施設だった。
絵に書いたような厳めしい顔の准尉殿がお出ましになって猛々しく言った。
「ファイターパイロットの諸君の行軍訓練は、たったの7日間だ!しかも、特別に行動食まで持っていける!俺たちに言わせればピクニックだ!!充分楽しんで来てくれたまえ!」

7日間にわたる行軍。目的地を目指して各々が地図とコンパスを持って挑む。担ぐ装備は約40kgで軽めに設定してあるそうだ。

飛行機乗りがなぜ行軍なのか?なぜ歩兵扱いなのか?最新鋭の戦闘機、VF-1バルキリーを志してきた者達は、一瞬疑問に思ったものの、それを深く考える暇を与えられなかった。

地上からの地形の読み方やサバイバルの講義を受け、彼らは二人組で深い森の中に放り投げられた。

出発して間もなく、班を組んだ柿崎に輝は確かめた。
「おい、そんなに飛ばしてたら後がもたない。ここは奴らのペースに巻き込まれない方がいい」
奴らとは、ハイペースで出発した他の欧米系の大柄なバルキリー訓練生達の事だ。日本人でありながら大柄な柿崎と比べても、輝は小さく見えるのに、柿崎より大きな欧米系の訓練生のなかに居たら、彼はまさに、「中学生」のように見える。自分の事を小さいと思った事のない輝には、彼らの「大丈夫か・・?」という視線に少しイライラしたが、いちいち立ち向かうのも面倒くさいので、気にしない事に決めた。

「おい輝、お前中学生って言われて怖気づいたか?いざとなったら背負ってやるぜ」
「うるせーな、誰が中学生だバカ!」
「ガタイの小さいお前にはナビまでは出来ないだろうよ!俺が先に行って道を開いてやるって言ってんだよ、じゃっお先!枝を折って行くし、地面に矢印も書いてやるからな!」
柿崎は大きな目と口を少し意地悪気に曲げて、斜面を駆け上った。
その様子をじっと眺めていた輝は、チッと舌打ちをしてつぶやいた。
「・・ゴリラ野郎・・知らねーぞ・・」

柿崎が駆け上っていった森の中の斜面を、一歩づつ足を進め、身体を装備ごと上に押し上げる。思いのほか、筋力を使う感覚に、輝は唸った。普段、意識して身体を鍛えるのは、戦闘機の操縦でかかるGに耐える事が目的であって、こんな風に装備を背負って歩く事は想定していなかった。

だが、普段のトレーニングは無駄ではなかったようだ。下半身で身体を押し上げ支える感覚に慣れてきた頃には、すでに呼吸は整い身体は一定のリズムを刻んでいた。
視線の先に、思った通りの光景があった。

「おい柿崎、ナビするんじゃなかったのかよ」
ニヤリと笑った輝は木の根っこに持たれて息を荒げる柿崎に言った。
「ああ?お前の・・ナビゲーションの腕前を試してやろうと思って・・、ここで・・待ってたんだよ!」
「なんだよ思った通りへたばってるじゃないか、待ってろ、現在地の確認をしてくる」
輝はそう言うと、明るい稜線にでて、迷彩帽を深くかぶり直してから地図を広げた。
ロイ・フォッカーがウイングマーク取得時にお祝いにくれたパイロットウォッチは、GPS機能があるという事で、携帯するのは許されなかった。あるのは地形図とコンパス、単純に時間だけを示す腕時計だけだ。

アマチュア時代に、既に個人乗り小型飛行機で移動する事があった輝は、当然簡単なナビゲーションの技術を身に着けていた。しかしそれは、GPSを使い、地上の航路案内システムと連動して行うもので、自分が考えてナビをする事は無かった。
しかし、戦闘機乗りになるために、事業用航空機運用免許であるウイングマーク取得のため身に付けたナビの仕組みは違った。

地上でも上空でもGPSは使わずにナビをする。上空で迷ってしまい、コクピットで地図を広げては教官に怒鳴られる日々だった。
あの時は、国防費に予算が割けなかった前政府時代の貧乏訓練を今やってバカじゃないかと思ったが、以外な時に役に立った。

現在地を確認し、目的地との位置関係を確認してから柿崎が待つ場所に戻った。
「柿崎、あんたのカンは間違って無かったぜ!この方向で正しい!」
「お、おお!そうだろうよ!」
別にカンを付けてこの方向に来たわけでは無かったが、無邪気に見える輝の笑顔を見て、柿崎は毒気を抜かれてしまってそう答えた。
柿崎は立ちあり、二人は再び森の中を進む事にした。

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2011-06-29 : SS ファイターパイロット : コメント : 4 :
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Re: 白い追憶は文のみです
にゃおさん、コメントありがとうございます

そっか、そういえば無かったね。
2011-07-02 21:34 : michy URL : 編集
白い追憶は文のみです
ごめんなさい。誤解を与えてしまいますた。
お母さんが危篤で、教官に呼び出された時だったかな?
ちょっと今手元になくて(人が寝てる傍に隠してるもんで)。

ライフル?構えは、検索「画像 一条輝」で、ダーっと出たのをしぶとく下まで探すと出るかと。

2011-07-01 03:33 : にゃお URL : 編集
Re: じゅるじゅる
コメントありがとうございます。
ライフルを構える輝?そんなの見てみたいっす。白い追憶でも、そんなイラストあったんや。知らんかった。また確認しよ。
同期ネタ、わりと楽しいですよね。
2011-06-30 22:12 : michy URL : 編集
じゅるじゅる
輝の陸戦訓練、見たかったー!
TVで、入隊訓練で少し出てたのと、CDのカバーでライフルを構えていたのと、フィギア?の箱に両手で銃を構えて狙いを定めているのと、3つを見ただけ。
かっこいいですよねー。「白い追憶」で未沙が訓練して、泥だらけでショットガンだか何だか小脇に抱えてる?場面が描かれていたけど、それも萌えた。

こちらを拝見して思ったのですが、輝が「一条」と呼ばれるのを聞いたことな気がする…。
同期がホントにいないんダナ…。
これまた、新鮮で萌えました。
男同士の「おい、お前なー。」みたいにじゃれあうのって、すごくイイです。
2011-06-29 23:38 : にゃお URL : 編集
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