SS ファイターパイロット

愛おぼ妄想さめません。はやく吐き出さないと、テレビ版とごっちゃになってしまう・・。

かなり前から妄想していたものです。今回女性はでてきません。かなり趣味に走っています。

愛おぼ版輝の経歴はこちらに詳しくありました。劇場版からです。

養成所を経てパイロットになった、っていうのがツボで・・(^_^;)

完全オリジナル設定で、長めです。苦手な方は避けてくださいね。

ひそかにイラストをup・・
練習機の飛行服・・ってイメージです、ハイ・・。
fp1.jpg






着陸に備えて減速するジェット戦闘練習機からの光景は、どこの訓練所の上空の眺めより好きだと思った。

晴れた日には遠くに富士山が見えて、海と空の青と富士山の頂に積もるしろい雪が何とも言えず美しい。

練習機の前席で機体を操る一条輝は、まだまだ気を引き締めないと、と自分に渇を入れた。既に筆記試験はパスしている。ウイングマークを正式に受け取る事が出来るのは、この実技試験に合格しないといけない。

課目は全て失敗なく行う事が出来た。当然、後席の教官からの「危険運転のため操縦を変われ」の意味をなす「I have control.」の指示も出ていない。

後は無事着陸するだけだ。


着陸も完璧だった。はっと息をついたが、教官に聞かれているだろうと思って咳払いをした。所定の位置にまで機体を移動させ、整備要員と共にエンジン停止を行う。
キャノピーがようやく開き、同時に遮光バイザーを上げ酸素マスクを外すと、もう地上に降りてしまったんだと、少し寂しくなった。



「おつかれ、良かったみたいだな」
結果を待つために控室に戻ろうと歩いていたら、コンビを組むサカイ少尉が話しかけてきた。サカイはヨコスカの士官学校を出てから飛行過程に入ったエリートだ。

「はい、たぶん・・、サカイさんこそ、余裕じゃないですか、さすがエリートは違いますね」
「何言ってるんだ、お前みたいなサラブレットに言われたきゃないよ」
サカイは、ほっとしたように笑いながら輝の背中を叩いた。

サラブレット。この世界に居る限り、輝はそう言われてしまう。2年前、アクロ飛行中に不慮の事故で死んだ輝の父親は、知る人ぞ知る有名人だ。数々の伝説を持つ凄腕戦闘機パイロットでありながら突然除隊し、民間のアクロバット飛行チームを立ち上げた。はじめは大口のスポンサーがついていたが、先の統合戦争でスポンサーが着かなくなり、資金不足に苦しむ事になった。しかし、凄腕ぶりは健在で、彼を慕う軍関係者からの誘いで、たくさんの航空ショーや展示飛行に駆り出された。

航空ショーで見る父親のプロペラ機でのアクロ飛行は最高にカッコよかった。しかし、幼い輝が心惹かれたのは、やはりパワーとスピードが勝るジェット戦闘機だった。とくに青と白のカラーリングを施したジェット戦闘機のアクロバットチームの演技から目を離す事が出来なかった。

しかし、ジェット戦闘機を好きだと言ってしまうと、大好きな父親を小さく見てしまうようで嫌だった。
まだ幼かった輝には、プロペラ機で行うあの演技がどれほど凄いかなど解りやしない。
輝は頑なに、戦闘機は嫌いだと言い続けた。

そのキライな戦闘機で、これから生活していく事になるのだ。アマチュアのレーサーのままで生きていく事も考えたが、いくら優勝を重ねても機体の維持が資金的に難しくなった。そんな時、ロイ・フォッカーに軍隊に入らないかと声を掛けられた。もう戦争は終わった。実戦で引金を引く事は無いだろう。

二人が控室で待っていると、それぞれの担当教官が前に座った。次々と言い渡されるダメだしにずり落ちそうになった時、おもむろに教官が言い放った。
「今後の活躍に期待する。合格」

顔を上げて、口が悪くて最高にウザい教官の顔を見た。教官は右手を差し出した。
「お前の親父さんには、随分世話になったんだぜ」
輝は軽く笑って、その手を握り返した。

教官たちが部屋を出ると、ホッとした表情のサカイと目があった。
「やったなぁ!」
「はい!」
二人は立ちあがって大きくハイタッチした後、肘を立てて高く硬く握手をした。これでもう自分達は、晴れて戦闘機乗りなのだ。それまでに流した汗も悔し涙も、、もう昔の事になった。


ロイ・フォッカーがミサワ基地に来ている。そんな嬉しい情報を聞いたのは、呼び出された基地司令のクリハラによってだった。クリハラは父の飛行隊時代からの親友だった。

「それで司令!せん・・いやフォッカー少佐はいつまでミサワにおられるんですか?」
「いつまでどころか、このハママツにくる予定だ。訓練生諸君に最新鋭の機体を見せにな」
「はぁ、最新鋭・・」
「さっきの話はうわの空じゃないか。最新鋭のVF-1は最高にエキサイティングだ。楽しみにしていろ」
「・・はい」
はっきり言って、最新鋭の機体など、どうでもよかった。
「返事は早めしてくれ」
輝は、今後の配置について、クリハラからある内示を言い渡されるために呼び出されたのだが、ロイ・フォッカーが来る事を聞いた事で嬉しくて、その事で頭がいっぱいになった。


次の日の晴れた春の朝に、VF-1はハママツに飛来し飛行場の上空で見事に旋回してから着陸してみせた。
ロイ・フォッカーは、待ち切れずエプロンの前で立つ輝を見つけると満面の笑顔で大きく笑い、キャノピーを開けコクピットから飛び降りた。

「輝ゥっ!!お前がウイングマークとは驚いたぜ!この寝小便野郎!」
「そんな大昔の話をいつまでもしないでくださいよ、相変わらずだなぁ」

ロイ・フォッカーは輝の腕を叩くと腰の位置で強く彼と握手をした。それまで、ロイ・フォッカーは輝を見つけると頭をこ突いたり背中を叩いたりして遊んでいて、こんな正式な挨拶をされたのは初めてだった。

認めてもらえた。
そう思うと最高に誇らしかった。

「見てみるか?VF-1A バルキリーだ」

「・・へぇ・・」
朝の光に映えるその機体はそれほど大きい事はなかったが、確かにそれまでの戦闘機とどこか構造的に違うものだということが、外観からでも解った。
触れて軽く掌で叩いてみると、それまでの鋼鉄製やハイパーカーボン製とはまた違う手触りで、やはり違うものなのだと感じた。

「流行りのオーバーテクノロジーですか?」
「そうとも、これまでの戦闘機と似てはいるが大きく違う」

「その宇宙服みたいな飛行服も、新しい物なんでしょ、与圧式ですか?」
「お前の言う通り与圧式だ。耐Gスーツも兼ねている。ヘルメットのバイザーを降ろせば酸素が供給される。お前らみたいに酸素マスクも、飛行服の上から着る耐Gスーツも必要ない」

「へぇぇぇぇ・・・・・・」
「なんだぁその気の無い返事は?こう、もっと感動したらどうだ?」
手を開いて呆れたように言うロイ・フォッカーに輝は肩をすくめた。
「それより、士官学校出身のエリートパイロットの皆様がお待ちかねですよ。彼らにも見せてあげてもいいですか?」
「おおっ!お前みたいなヤツに話してもつまらん!お前等!こっちに来い!!」

右手を派手に振り上げて遠巻きに見ていた輝の同期達に合図すると、待ちかねたように彼らは駆け足でやってきた。

高校を飛び級で卒業してから軍隊の航空学校に入った輝にとっては、ヨコスカの士官学校出身の彼ら全てが上官であり年齢も上だ。はじめはどことなく居心地が悪かったが、同じ目標に向かう共通点ゆえか、徐々に慣れていった。

コンビを組んだサカイも、始め面ざしに幼さが残る輝を不安に思ったが、輝の操縦技術の高さと、模型シュミレーションにひたすら付き合ってくれる忍耐力と優しさに、年下の同期生を信頼するようになった。

輝にしても、自分が上空でとった行動を、理論と根拠で説明できない弱点を、サカイに助けてもらった。筆記試験が合格できたのは、サカイのおかげでもある。


「いいか!これまでの戦闘機と一番違う点は、このエンジンだ。詳しい説明は省略するが、従来のものよりかなり小さいものとなっている。お前等が乗る戦闘機は、エンジンに翼とコクピットが付いているだけだが、こいつは小さくなったエンジンのおかげで多くの装備が配置出来ることになった!」

なんといっても、ロイ・フォッカーは統合戦争のエースパイロットだ。しかも彼は人を引き付ける明るさに満ちている。

ぼんやり立つ輝の隣にいたサカイが言った。
「フォッカー少佐、公開されているVF-1Aの資料によると、確かにエンジンが小さくなって大きくスペースが空いています。しかし、その空きスペースにミサイルやコクピットの与圧システム、燃料タンクが配置出来るにしても、まだ空きスペースがあるように思われるのですが・・」

「いい質問だが、答えられない。まぁそのうち解る。それより、諸君は先日ウイングマークを取得したばかりだ!俺がお祝いに飯を食わせてやる!」

「うおおおお!やったああああ!」
どよめく新人パイロット達の狭間で、ぽかん突っ立つ輝に向かって言った。
「おい輝ゥっ!!カワイイ女の子のいる所に連れて行け!!」

え?俺?と自分を指さす輝の肩を組んでサカイが笑いながら言った。
「少佐、それは彼には荷が重すぎます!最近やっと我々の指導によりアイドル歌手がかわいいと言いだした所なんです」
「なんだぁ!情けない奴だ!では君に頼もう、キャバクラという日本文化を見学したい!」
輝は噴き出して笑った。
「先輩、日本ではギャランドゥは法律違反ですよ、女の子も引きますからシャツのボタンはしっかり閉めてください」
「うるさいぞ輝!さっさと来い!」
フォッカーに首根っこを掴まれて引きずられると、なんだか昔に戻った気がして無性に笑いが込み上げてきた。フォッカーも大声を上げて笑っている。朝の光がいっそう明るく感じられるようだった。


その日の夜の宴会は思った以上の盛り上がりぶりで、未成年の輝は運転やら介抱やらで大忙しだった。さすがに軍人が集団でキャバクラはヤバいと言う事になり、「それじゃあ日本に来た意味が無い!!」と酔って暴れるフォッカーをなだめるのに苦労した。

全員が休日になる翌日は、案の定ほとんどの者が二日酔いでうなっていた。
フォッカーは頭が痛いと言いながらも、輝の父親が墜落した現場に花を捧げたいと言ってくれた。基地からほど近い河川敷に、有志が立ててくれた小さな石碑があった。
大きめに作られた花束も、大柄のフォッカーが持てば小さく見える。石碑に花をささげ、日本人がするようにしゃがんで、無骨で大きな両手を合わせた。

輝はフォッカーの合わさった両手を見ていたが、やがて空を仰いだ。
春の風が二人の間をすりぬけて上昇気流となって高く舞い上がる。
魂というものがあるとしたら、きっとその風の中に宿っていたのかもしれない。



別れの時が来た。ロイ・フォッカーは再びミサワにもどり僚機と合流し、アラスカに戻る予定だ。驚くべき事に、アラスカまで往復無給油で飛べるらしい。異星人がもたらしたオーバーテクノロジーによる技術革新は想像もつかないレベルにまで達している。

「輝、お前北米のバルキリードライバー訓練所に行く事を内示されてるらしいじゃないか」
見送りにきていた輝に、ロイ・フォッカーは静かに言った。
「司令から聞いたんですか?」
「あぁ、クリハラさんは親父さんの友達で、俺もよく知っている。返事は保留にしたらしいな」

輝は言葉が見つけられなくて、じっと黙った。
「お前、ひょっとして親父さんが乗っていた戦闘機の15に乗りたいんじゃないのか?」
「そういう訳じゃないですよ。ただ、どっちでも良かっただけです」
フォッカーはそう話す輝をじっと見た。
「輝よ、お前は親父さんが死んでから変わっちまったんじゃないか?そりゃあ俺だっていまだに信じられないんだ。無理もないと思うが・・」
「・・」
「俺にはお前が、諦めているように見える。昔のお前はもっと熱があった」

「・・先輩・・」
「なんだ言ってみろ」

輝は大きな目を空に向けて言った。
「俺、親父が死んだ日の朝にケンカして・・、ひどい事言っちまって・・」
フォッカーは黙って輝を見た。
「お前なんか堕ちて死ねって・・」

輝の告白は、無骨で繊細な兄貴分の胸を締めあげた。父親を大好きだった少年の思春期らしい跳ね返った言葉が、実際の事故に関係したなどはあり得ない。しかし、少年だった輝の心が罪悪感でのたうちまわった事だけは事実のようだった。

ロイ・フォッカーは静かに言った。
「輝よ、俺達ファイターパイロットに必要な事が解るか?」

突然のフォッカーの言葉に輝は視線を彼に戻した。

「俺達ファイターパイロットに必要な事は、情熱を持ってリラックスすることだ」
「・・先輩」

「親父さんが俺にくれた言葉だ」
輝には、兄貴分のフォッカーが何を伝えようとしているか解らなかった。しかし、この言葉は自分も覚えておこうと思った。

「早く女を作れ。お前に言うのは酷かもしれないが、子供の頃は傷ついた心と身体を母親が癒してくれた。だが大人になってからは、彼女の身体と心が男を癒すんだ」

輝は黙ってフォッカーの言葉を聞いた。

「じゃあな!輝!北米での訓練が終わったら、俺の部隊に来い!しごいてやるからな!」
耳が破れるくらいの大きな声だったが、その声で輝は自分が生きていく現実の世界が広がったように感じた。

コクピットのロイ・フォッカーは親指をぐっと立てた後、短く力強く敬礼をした。
輝もそれに答えて親指を立てた拳を高々とあげた。

情熱を持ってリラックスする事
そんな事が出来るものか。

そう呟きながらも、飛び立つバルキリーを見ながら、輝は何度も何度もその言葉を繰り返した。




おわり






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2011-06-18 : SS ファイターパイロット : コメント : 0 :
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